
Appleは7月26日、近畿大学東大阪キャンパスで行われたオープンキャンパスに合わせて、特別なAppleブースを設置した。会期はこの日たった1日。僕は公開前日の内覧と、当日の会場を取材することができた。
2日間見て印象に残ったのは、会場の作り込みにも驚いたが、この場所が何のために作られているかという部分だった。
なぜ、大学のオープンキャンパスなのか
多くの人が自分のパソコンを初めて手にするのは、大学に入るタイミングだ。
だからその手前にいる高校生に会いに行く。Apple製品やMacの楽しさ、便利さ、かっこよさに触れてもらう最初の出会いの場をつくる。中に立てば、そこはもうApple Storeそのものだった。
では、その出会いの場に人は集まるのか。答えは開場前から出ていた。

11時のオープンを前に、ブースにはすでに列ができていた。開場してからも人が途切れることはなく、時間帯によっては入場規制がかかるほどだった。オープンキャンパス全体では1万6千人が訪れたそうだが、かなり多くの人がAppleブースに興味を示していたと思う。
高校生とみられる参加者が、MacやiPadを楽しそうに触っている。この光景がいちばん印象に残った。
15分のセッションは、機能ではなく学生生活の話から始まる

ブースの中は4つのパートに分かれる。15分のToday at Appleのセッション、ワークショップ、製品展示のショーケース、そしてステッカースタジオだ。Today at Appleのセッションは1時間のうちに3本が回る構成で、いつでも何かが行われているような状態だ。

僕が前日に受けたセッション「Macで毎日をパワーアップしよう」は、機能の説明からではなく、大学でどんな夢を叶えたいかという問いかけから始まった。扱うのはMacを整理された状態に保つ、Spotlightで素早く作業する、集中モードでフォーカスを高めるという3つのテーマなのだが、例に出てくる場面がレポート、サークルの予算、授業中の通知と、すべて学生生活に紐付いている。象徴的だったのは集中モードのデモで、東大阪キャンパスに入ったら自動でオンになる設定を、その場で作ってみせた。高校生が入学後の自分を重ねるには、これ以上ない見せ方だと思う。

ワークショップでは、iPhoneとMac、そしてiPadの連携など、実際に手を動かしながら機能を体験する。参加者の多くはiPhoneだけを持っている高校生で、大学に入るとMacやiPadを使う場面が増える。そこを踏まえて、Macを中心にした連携を体験させる設計になっている。

当日のワークショップは常に席が埋まっているような状態だった。時間いっぱいまで質問を続けている参加者もいたのが印象的で、やっぱり実際に触ったり質問できたりする接点があることは非常に重要だと感じた。気になるモデルがあれば、ショーケースでそのままスタッフに相談できる。体験から相談までがブースの中で完結する動線になっていた。
大人気のステッカースタジオ
新しい試みとして用意されていたのが、ステッカースタジオだ。

ステッカーのモチーフが良かった。近大のレンガをモチーフにしたAppleロゴなどApple由来のステッカーから、近大マグロ、マンモスといった近畿大学が研究しているものを由来にしたステッカーまで揃っている。さらにはクリエイターが手がけたイラストや、4枚で1セットになるMBTIのステッカーもあった。

前日、僕も体験させてもらったのだが、たくさんあるステッカーの中から5〜6枚を選ぶのが楽しすぎた。選び終えたら6つのテーマで用意されたMacBookに並べて撮影に移るのだが、ここでも配置に悩み、細かいところまで気にしてしまう。

当日はオープンしてすぐ行列ができる盛況ぶり。みんなステッカーの並んだテーブルの前で、あれかこれかと指をさしながら選んでいる。選び終えた組から、MacBookの上に並べて写真を撮っていく。前日に僕が悩んだのとまったく同じところで、みんな目をキラキラさせながら悩んで、楽しそうに写真を撮っていた。

まるで1日限りのApple Store
ここまで書いてきた体験を包む会場も、今回のために一から作られたものだ。
会場を囲むレンガのデザインは、近畿大学の正門や東門のレンガ造りをモチーフにしている。アーチのデザインもキャンパス内の門から取り、色は近大ブルー。ステッカーもトートバッグも今回だけのデザインになる。準備が動き出したのは春ごろで、デザインを作り上げた期間はかなり短かったそうだ。

正面には大きなビデオウォールが立つ。Apple表参道に設置されているものよりも幅が広い最大級のものが設置されていたのは驚きだった。前日の内覧では、この会場を誰もいない状態で見ることができたが、ここまで作り込んだ一点物を、翌日のたった5時間のために用意する。Appleが今回の取り組みに対してどれだけ本気であるかは、ここからもわかる。
ここで初公開されたセッションは、世界中のApple Storeへ

1日限りの取り組みに見えて、実はここで終わらない。
今回の取り組みは、以前に近畿大学で既存の学生向けに実施した小規模な施策の延長線上にある。そこで関係ができたことが今回につながったそうだ。
そして今回のセッションには、世界で初めて実施された内容が含まれている。同じものが、これから世界中のApple Storeで行われるという。
日本の大学のオープンキャンパスで最初に披露された15分が、これから世界の店舗に広がっていく。そう考えると、あの日ここにいた高校生たちは、なかなか贅沢な体験をしたことになる。同時に、今回のブースに行けなかった人も、近くのApple Storeで同じセッションを受けられるようになるはずだ。
Appleは最近EDIXへの出展など、教育分野への積極的な活動が目立っている。今回の近畿大学との取り組みは、また新たな一歩となったのではないだろうか。
近畿大学としても、今回の盛況ぶりをみて今後もこういった取り組み続けていきたいと話していたことから、かなりの手応えを感じているようだった。さらに、今後も様々な大学と連携して、こういったAppleブースを展開して欲しいところだ。
