コンテンツを見るのが楽しくなる!有機ELとA20 ProでPro並みになった iPad mini(A20 Pro)先行レビュー
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11月6日に発売される新型iPad mini(A20 Pro)を、ひと足先に触ることができたので先行レビューをお届けする。この記事では手元の旧iPad mini(A17 Pro)と並べて数日使った結果を、外観、ディスプレイ、スピーカー、ベンチマーク、そして僕がいちばん気になっていたiPhone Duoとの使い分けについても触れたいと思う。

なお、僕はこれまでiPad miniをあまり活用できていなかった。それが今回のモデルでどう変わったか、というのがこの記事の裏テーマでもある。

外観チェック。数字より手に持ったときの差が大きい
本体のサイズは縦195.3mm、横132.6mm、厚さ5.4mm、重さはWi-Fiモデルが255g、Wi-Fi + Cellularモデルが263gだ。旧モデルは縦195.4mm、横134.8mm、厚さ6.3mm、重さ293g(Wi-Fi)、297g(Cellular)だったので、縦はそのまま、横が2mmほど細くなり、厚さが0.9mm減って、重さは38g軽くなった。前モデルより14%薄く13%軽く、そしてiPad史上もっとも軽い一台ということになる。

数字だけ見ると小さな差に思えるかもしれないが、箱から出して、隣に置いた旧モデルと持ち比べたときの印象はかなり違った。これはロサンゼルスでの体験会でも感じたことだが、薄さが持った瞬間にわかる。思わず「薄っ」と言ってしまったほどだ。

画面は8.3インチから8.5インチになった。本体がほぼ同じ大きさのまま画面が広がったのは、ベゼルが24%細くなったからで、表示領域の増え方としては解像度が2,266×1,488から2,316×1,512ピクセルへ、画素密度326ppiのまま少し増えた形だ。外観上の変化としてはもうひとつ、フロントカメラが長辺側に移って、横向きに持ったときに目線が合うようになった。すでに他のiPadはこの長辺にフロントカメラを移動していたので、iPad miniとしてはそれに合わせた感じだ。

スピーカーの穴がなくなって、音は良くなり、水にも強くなった
外観でいちばん驚いたのがスピーカーだ。新型には、旧モデルで上下の縁に並んでいたスピーカーの穴がない。「Acoustic Display」という仕組みで、ツイーターはガラスとアルミ筐体の間に隠され、ウーファーはディスプレイを通して音を出す。だから穴が要らない。

穴がなくなったことで筐体を密閉できて、その結果としてiPadで初めてIP67等級の耐水・防塵性能(最大水深1mで最大30分)がついた。音のための設計変更が、そのまま耐水の理由になっているわけだ。マイクも2つともIP67対応で、前面のマイクは横向きカメラの隣に移り、使っているカメラ側のマイクが自動で選ばれる。
肝心の音は、想像以上に良かった。スピーカー穴がないので画面から直接音が出てくるイメージで、低音もただ鳴っているだけではなく、クッキリとした音像で聞こえ、中音域から高音域も派手さはないが、非常にバランスよく聞こえる。小さい板から出ているとは思えない鳴り方で、GadgetouchのPodcastも聴いてみたが、心地よい音で聴くことができた。
OLEDで、自分の映像を見直す
ディスプレイはSuper Retina XDRと呼ばれるOLEDで、SDRの最大輝度が600ニト、HDRコンテンツのピークで1,200ニト、最小輝度は1ニトまで落ちる。旧モデルの液晶が500ニトだったので、明るい側も暗い側も幅が広がった。

体験会で見た時からやってみたかったのは、自分で撮った映像をこの画面でどう見えるか、だ。α7S IIIで撮った4Kの番組映像、Z fで撮った写真、字幕を入れた動画を、同じファイルを新旧それぞれに入れて見比べたところ、細かいディティールまでちゃんとみることができるし、YouTube公開前の動画チェックをiPad miniで確認しても問題ないと感じた。
ひとつ残念なのは、リフレッシュレートが60Hzのままという点だ。仕様にProMotionの記載はなく、iPad Proの120Hzと比べるとスクロールやPencilの追従で差を感じる。ここまでの画面を積んだのだから、次こそは、と思う。
ベンチマークで見るA20 Pro
今回のレビュー機は512GBモデルで、チップは6コアCPU(スーパーコア2+高効率コア4)、7コアGPU、デュアル16コアNeural Engineという構成だ。128GBと256GBのモデルは5コアCPUと16コアNeural Engineになるので、容量によってチップの中身が違う点は買う前に知っておきたい。
旧モデルのA17 Proは6コアCPU、5コアGPU、16コアNeural Engine。Appleの公称では、A17 Pro比でCPUが最大1.6倍、GPUが最大2.7倍、メモリー帯域幅は2倍、GPUのNeural AcceleratorsでLLMのトークン生成が最大4.5倍とされている。

実際に測ってみた。使ったのは最新版のGeekbench 7で、新型のCPUはシングルコアが3,967、マルチコアが11,195。同じテストを旧モデルのA17 Proで回すとシングルが2,517、マルチが6,759だったので、シングルで約1.6倍、マルチで約1.7倍。Appleの公称「最大1.6倍」はほぼそのままの数字が出たことになる。GPUは新型が59,295、旧モデルが20,891で、こちらは約2.8倍。GPUのコア数が5から7に増えて、Neural Acceleratorも載った分、CPUより差が大きく出ている。

Geekbenchのデバイス情報を見ると、CPUのクロックは4.93GHz、メモリーは11.5GBと表示されていた。つまり12GBで、Appleは公表していないが、iPad miniがこのクラスのメモリーを積んだのはこれが初めてのはずだ。Siri AIの表現力のある声など、上位のiPadでしか使えなかったAI機能がminiでも使えるようになった裏には、このメモリーがあると考えてよさそうだ。

AI性能もGeekbench AIで測った。Core MLのCPUバックエンドで、新型はSingle Precisionが6,787、Half Precisionが11,975、Quantizedが8,944。旧モデルはそれぞれ3,410、6,452、5,135だったので、Single Precisionではほぼ2倍、Half PrecisionとQuantizedでも1.7〜1.9倍の差がある。これはCPUだけで処理させた数字なので、Neural EngineやGPUを使う実際のAI機能ではさらに差が開くはずだ。
外部ディスプレイにつなぐと、iPad miniが別の道具になる
USB-Cポートの仕様はUSB 3で最大10Gb/s、外部ディスプレイは4K・60Hzを1台、と旧モデルから変わっていない。変わったのは使い方で、新型は拡張ディスプレイモードに対応した。旧モデルは画面をそのまま映すミラーリングだけだったので、モニターにつないでも「大きく映るだけ」だった。

スタジオのStudio Displayに新型iPad miniをつないで、Magic KeyboardとMagic Mouseを合わせてみた。もちろん今までもiPad Proなどではできたことではあるが、iPad miniでこれができるようになったのはかなり驚きだ。
実際の作業でも記事を書いたりするのには問題はなく、Macに近いような操作感で作業ができるのは楽しい。iPad mini Proと言いたくなるような、そのぐらいの拡張性とパワーを持ったのはやはりA20 Proチップの性能の高さからくるものだろう。
iPhone Duoがあると、iPad miniは要らないのか
ここがこの記事でいちばん書きたかったところだ。僕はいまiPhone DuoとiPhone 18 Proの2台を持ち歩いていて、Duoを開けばiPad miniに近い広さの画面がある。そこにminiを足して3台持ちにして、数日、どの端末をいつ取り出したかを意識しながら過ごしてみた。

まず、Duoで済んでしまった場面。電車移動の部分ではやはり気軽に取り出せるiPhone Duoが有利だ。どうしてもわざわざiPad miniを取り出すというケースにまではいかない。メッセージやSNSを見たりするのにはもうiPhone Duoで完結してしまっている。
一方で、iPad miniを取り出す場面はやはり、ゆっくり座って何かをしたい時だ。画面の広さだけで言えば、そこまで大きく変わるわけではないが、iPhone DuoのインナーディスプレイとiPad mini(A20 Pro)のディスプレイは明らかに違う。より映像などに没入したい場合はiPad mini(A20 Pro)で見たくなる。ここに重要度を置くかどうかで判断が分かれそうだ。
現時点での結論として、iPhone Duoを持っている人にiPad mini(A20 Pro)はやはりいらないだろう。ディスプレイの大きさとしてやはり近すぎるというのが理由だ。ただ、iPhone Duoは非常に高価ではあるし、全ての人が持つという性質のデバイスではない。
一方iPad mini(A20 Pro)は、それ以外の人にとってはかなり魅力的なデバイスと言える。最新のチップが搭載されたことにより、数年のアップデートも問題ないだろう。さらに、何度も書いているがやはりこのディスプレイとスピーカーは素晴らしい。119,800円からと価格は少し上がってしまったが、全ての面でアップデートされたという点を考えれば、決して高くないのではないだろうか。ここ数日触っただけでもベースとして満足度が高く感じている。
誰にオススメか
数日使ってみての結論を整理すると、まずiPhone Duoを持っている人には、上に書いたとおりあまり薦めない。画面の広さが近すぎて、よほど映像に没入したい場面でない限り、iPhone Duoを開いて終わってしまうからだ。
それ以外の人、つまりiPhoneとMacで回していて、その間を埋める端末を探している人には、今回のiPad miniはかなり自信を持って薦められる。OLEDとスピーカーで動画や音楽を楽しむ端末としてすでに十分で、そこに外部ディスプレイの拡張表示とA20 Proが加わったことで、デスクに戻れば作業端末にもなる。僕のように発信や取材をしている人なら、自分の映像を確認できて、IP67で雨の日の現場にも持っていける、という点もとてもいい。
旧モデルのiPad miniを読む・見る専用にしていて、そこに不満がない人は、有機ELの画面とこのスピーカーに惹かれるかどうかがポイント。ただ、一度並べて見てしまうと旧モデルには正直戻れないと思うので、そこだけは覚悟しておいてもらいたい。個人的には旧モデルから買い替えをしてもかなり満足感は高い思う。



