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チームの記憶を持つAIアシスタントサービス「TANKA」が日本上陸

リンクマン
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9月28日、都内でAIアシスタントTTANKA 日本ローンチ記者発表会が行われた。

TANKAは2024年にアメリカで生まれたAIアシスタントで、キーワードは「チームの記憶」だ。名前の由来は日本語の短歌。短い言葉に大切な意味を込める短歌になぞらえ、仕事の情報から「何が決まったか、なぜ決めたか、誰にとって大切なのか」を残す、という思いを込めたという。

登壇したのはTANKA Japan CEOのウィリアム・ワン氏。九州大学でMBAを取得後、富士通で約10年マーケティングを担当し、その後シリコンバレー発のAI企業Evotoの日本展開に携わった経歴を持つ。

「個人は速くなったが、組織は5%」という出発点

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ウィリアム氏がまず示したのは、AIツールの普及で個人の作業は速くなった一方、その便利さが組織の成果につながっているケースは限られている、という認識だ。MITの調査結果として「5%」という数字を挙げ、個人の効率化を組織の成果に接続する難しさを説明した。

原因の一つとして挙げたのが「背景を探す時間」だ。メールはGoogleやOutlook、チャットはChatworkやSlack、ファイルはGoogle Drive、議事録はZoom、録音は別のツール、さらに紙の資料。仕事の情報は場所も時間もばらばらに散らばっている。全部保存しておけばいい、という考え方もあるが、いつ何が変わり、誰と何を約束し、何がまだ確認できていないのか、そのつながりがなければ、結局は自分で整理し直すことになる。

ウィリアム氏自身、20年前に富士通に入社した初日に上司から「報連相」を教わったが、実際に時間がかかったのは報告や連絡そのものではなく、その前提となる背景の整理だったと振り返った。ツールが変わっても、この負担はほとんど変わっていないという。

TANKAが目指す「チームの記憶を持つAIアシスタント」

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TANKAは、情報を単に溜めるのではなく、次の仕事に使える「背景」として保持することが重要だと考えた。ウィリアム氏の説明で一貫していたのは、人間のアシスタントと同じ、という見立てだった。有能なアシスタントが頼りになるのは作業が速いからだけではなく、前回何を約束したか、誰がなぜそう決めたかを覚えていて、それを踏まえて動いてくれるからだ。AIにも同じことが求められる、というのがTANKAのになっている。

この記憶はチームで共有される。担当が変わっても、定年や転職があっても、次の担当者が自分のアシスタントに「当時なぜこう決めたのか」と聞けば答えが返ってくる。議事録を遡って読み直す必要はない、というのがウィリアム氏の説明だ。

日本向けのローカライズと体制

日本展開にあたっての工夫として、ウィリアム氏はいくつかの点を挙げた。

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まず人名の扱いだ。同じ「高橋さん」でも漢字が違ったり、ローマ字で書かれたりする。それを同一人物として認識できるようチューニングし、さらに相手との関係性を判断して適切な言葉遣いを選べるようにしたという。業務ツールの連携はすでに29のサービスに対応済みで、Chatwork、kintone、SmartHR、LINE WORKSといった日本の主要業務ツールも含まれる。細かいところでは、日本の職場でよく使われる絵文字にも対応した。

体制面では、東京にサポートチームを置くだけでなく、自社の研究開発チームも東京に設置している。日本の声を日本で反映する、というのがこの拠点の目的だ。

個別取材では、製品アップデートを毎週木曜に行っているという話も出た。要望が翌週には反映されることもあるとのことで、東京に開発チームを置いたのはこのサイクルを日本市場で回すためだという。

なぜそこまで日本にコミットするのか。ウィリアム氏の答えは「日本は世界第3位のSaaS市場であり、ソフトウェアの価値をもっとも理解しているユーザーがいる」というものだった。昨年はアメリカ、今年は日本が最重要市場であり、少子高齢化と中小企業の経営難というプレッシャーの中で、組織全体の効率と収益を上げる道具になりたいと語った。

セキュリティとデータの扱い

サーバーは現在アメリカのAWSを利用している。ISO 27001とSOC 2は2年前に取得済みで、ユーザーのコンテンツをAIの学習には使わないことをコミットしている。今後は日本のプライバシーマークへの対応も計画しているという。

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質疑応答では、AWSのアメリカリージョンではなく、日本リージョンに移行する予定について質問が出た。ウィリアム氏は、サーバーを含めた現地化の計画はあり、特別な要望があれば日本への移行も検討可能だと答えた。個別取材でも、まずは現場の効率改善を求める顧客から導入を進め、セキュリティ要件の高い顧客に対しては日本国内のサーバー設置などをその都度検討していく、という段階的なアプローチが示された。

保存しているデータの中身についても質問があった。ウィリアム氏によれば、メールやSlackのチャンネルの内容をそのまま丸ごと預かるのではなく、保存するのは「これとこれが関係している」「これが変わった」といった関連性であり、人間の記憶が断片をつなぐ仕組みに似せているという。記憶は仕事の進行に合わせて随時更新される。

料金とプラン

料金はサブスクリプションの月額制。フリープランがあり、有料プランはProプランが月額3,500円、Maxプランが月額17,500円。最上位のプランは月額35,000円となっている。

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プラン間の違いは「クレジット数だけ」とウィリアム氏は説明する。ただしTANKAは回答だけでなく記憶にもクレジットを消費するため、たくさん記憶させればその分消費は早くなる。

個別取材で、月額3,500円のプランでどこまでできるかも聞いた。ウィリアム氏の目安では、一般的なスタッフの業務、たとえば週1回程度の資料作成や日常のメールのやり取りであれば3,500円で十分だという。一方、部長や一人社長のように重いミッションを多数抱える場合は上位プランが視野に入る。メールボックスを常時監視させて代わりに返信させる、資料を大量に作らせる、といった使い方はクレジットの消費が速いからだ。最上位プランは、使い放題に近い使い方をする人向けという位置づけになる。

「アシスタントにPowerPointを作らせると1日かかる。その日は他の仕事を頼めない、という人間のアシスタントと同じイメージ」という説明が印象的だった。

利用環境としては、Windows、Web、iPhone、iPad、Androidに加え、Macアプリも提供される。すべての端末で日本語に対応する。なお、現在料金は現在1名ごとの契約だが、10月からは企業プランが導入される。会社として席数を確保し、誰にどのプランを割り当てるかは管理者が決める方式で、まとめ買いには割引が付く予定だという。

日本上陸記念「Founding 100」

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日本上陸を記念して、「Founding 100」というプログラムが発表された。通常月額3,500円のプランを、100チーム限定で月額980円で提供する。価格だけでなく、TANKAの担当者が導入とAI活用の伴走支援を無償で行う。

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この100枠のうち10枠は、熊本地震の被災企業向けに用意される。被災企業限定で月額0円、伴走支援も無償で、5カ月間提供するという。

「小さなチームでの使い方」

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TANKA Japan CEOのウィリアム・ワン氏/ photo by gori.me

発表会後の個別取材では、フリーランスや数人規模のチームでの実用面を中心に聞いた。

要望として多い、LINEやMessengerの連携については、LINE側がAPIを提供していないため直接接続は難しい、という回答だった。現状の回避策は、LINEのトーク履歴を書き出してTANKAに読み込ませる、あるいはスクリーンショットを投げる方法。FacebookやXのDMについても、各プラットフォームの審査を通さずに読み取ることは法的に難しいとしつつ、何らかの形で解決したいと語った。

APIのないサービスに対して、Computer Use(AIが画面を直接操作する方式)で読みに行く選択肢はあるかと聞くと、方向性としては検討しているが、仕事の場で顧客のファイルを勝手に取りに行くことには個人向け以上に慎重でなければならない、という答えだった。

また、約2週間後にリリース予定の新機能として「ワーキングメモリー」が紹介された。ClaudeやChatGPT、Geminiといった普段使っているAIツールをこれにリンクさせると、「あの資料はどのツールで作ったんだっけ」という問いに答えられるようになるという。

スモールビジネス、中小企業にとっては大きな戦力に

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アシスタントAIのサービスが次々と登場する中で、TANKAが賭けたのは賢さではなく「記憶」だった。人間のアシスタントが頼りになるのは、前回の約束や決定の経緯を覚えていて、そのつながりから今必要なことを導いてくれるからだ。TANKAはAIでありながら、その働き方をそのままなぞろうとしている。だとすれば、プロンプトの書き方に詳しくなくても、普段人に頼むのと同じ言葉で使えてしまうかもしれない。AIに詳しくない人ほど恩恵が大きい可能性がある、というのは他のツールにはあまりない特徴だ。

ウィリアム氏自身が認めていたように、記憶の価値は目の前でスライドが仕上がるような分かりやすさがなく、実感しにくい(もちろんスライドも作れるのだが)。それでも、今使っているサービスをTANKAにつなぎ、部下や同僚に聞くのと同じように質問してみれば、その効果は分かるはずだと氏は言う。試すハードルはそれほど高くない。

個人的には、普段の業務でかなり煩雑になっている部分、たとえば経緯の確認や資料の所在探しを、アシスタントを一人AIに任せるつもりで預けてみたら、一気に効率化しそうな手応えを感じた。