Googleが8月12日、新型スマートフォン「Pixel 11」「Pixel 11 Pro」「Pixel 11 Pro XL」を発表した。あわせて折りたたみモデルの「Pixel 11 Pro Fold」、スマートウォッチ「Pixel Watch 5」、紛失防止タグ「Google Pixel Tag」なども披露されている。本稿ではPixel 11シリーズの3モデルを中心にレポートする。Pixel 11 Pro Foldについては別記事にまとめた。
これに先立ちGoogleは事前説明会を開催した。登壇したのは、Google Pixelプロダクト マネジメント シニアディレクターのピーター・プルナスキー(Peter Prunuske)氏と、Pixel Watch プロダクト マネジメント ディレクターのライアン・クレムズ(Ryan Krems)氏。説明会全体を貫いていたのは「スマホに費やす時間を減らし、生活に時間を返す」というメッセージだ。
カメラバンプを40%削減した「Pixel 11」
まず標準モデルのPixel 11。目を引くのはデザインの刷新で、カメラバンプ(出っ張り)を40%削減したという。これは持ってみても非常に薄くなっていることがわかり、薄いケースでもつければ真っ平になるのはかなりのポイントだ。さらに、ポケットへの収まりも良い。カラーはFrost、Pistachio、Hibiscus、Obsidianの4色展開となる。
ディスプレイは6.3インチのActuaディスプレイ(60〜120Hz)で、ピーク輝度は3,000ニト。カメラは新しい48MP広角(光感度56%向上・マクロフォーカス対応)に、13MPウルトラワイド、10.8MPの5倍望遠というトリプル構成で、最大30倍の超解像ズームに対応する。フロントカメラは10.5MPだ。
チップは新開発の「Tensor G6」で、RAMは12GB。ストレージは256GBと512GBの2構成で、標準容量は前モデルから倍増した。バッテリー駆動は30時間以上をうたい、有線は30W以上のUSB-C PPS充電器で約30分で最大55%まで充電できる。ワイヤレスはQi2.2認証のGoogle Pixelsnapで最大25Wに対応する。
Pro/Pro XLの新機能「HiLight」
Pixel 11 ProとPro XLは、6.3インチと6.8インチの2サイズ展開。ディスプレイはいずれもSuper Actua(1〜120Hz)で、ピーク輝度3,600ニトはPixel史上最も明るい。カバーガラスには新しい耐傷コーティングが施され、耐擦傷性は前世代比2倍以上だという。カラーはCanyon、Fog、Oliveに、全面マット仕上げのObsidianを加えた4色だ。
Proモデル独自の新機能が「HiLight」だ。カメラバーのフラッシュ周辺にカラーLEDを内蔵し、端末を伏せて置いているときに光のパターンで状態を知らせる。Geminiと話しているときは「聞き取り・思考・応答」がそれぞれ異なるパターンで光り、着信は大切な連絡先ごとに割り当てたカスタムカラーで通知される。
画面を見ずに”いま拾うべき情報”だけを受け取る、という思想の機能で、説明会のメッセージともっとも整合しているのはここだと感じた。今後はお気に入りの連絡先からのメッセージ通知など、機能を順次追加していく予定だという。
カメラは50MP広角、48MPウルトラワイド(オートフォーカス・マクロ対応)、48MPの5倍望遠というトリプル構成。望遠はセンサーを大型化して感度を30%高める全面再設計で、ズーム全域の画質向上に加えて5倍でのポートレートモードにも対応した。
Tensor G6と最新の画像処理モデルの組み合わせで、超解像ズームProは最大120倍に達する。フロントカメラは42MPの広視野レンズになった。新しい「インスタント夜景モード」により、夜景撮影は画質を維持したまま最大4.5倍高速化している。
メモリ/ストレージは12GB+256GBが標準で、512GB・1TBモデルは16GB RAMを搭載する。バッテリー駆動は両モデルとも30時間以上。有線充電はProが30W以上の充電器で約30分で最大55%、Pro XLは45W以上の充電器で約30分で最大75%に達し、わずか15分の充電で15時間分の駆動時間を確保できるという。ワイヤレスは両モデルとも最大25W(Qi2.2)だ。
頭脳はTensor G6。セキュリティチップはTitan M3に
シリーズ共通の心臓部がTensor G6だ。CPU性能の向上でウェブブラウジングは25%、アプリ起動は15%高速化。TPUの演算能力を50%高め、最新のGemini Nanoモデルとの組み合わせで、オンデバイスAIタスクを最大3.5倍高速に処理しながら、エネルギー消費は最大3.5分の1に抑えるという。
セキュリティチップは新しい「Titan M3」に更新。Tensor G6と連携してセキュアブートに耐量子暗号を組み込み、現在の高度な攻撃だけでなく、量子コンピューターによる将来的な脅威への対策も盛り込んだと説明された。OSはAndroid 17を搭載し、OS・セキュリティ・Pixel Dropのアップデートは7年間提供される。
カメラ新機能は「撮る人の目的」
カメラのソフトウェア面では3つの新機能が紹介された。
マジックキャプチャーは、オンデバイスのインテリジェンスとGeminiモデルが約400フレームを解析し、赤ちゃんのふとした笑顔やペットの動き、スポーツのアクションといった難しい瞬間を、ワンタップで自動撮影する機能。完璧なタイミングを捉えた12MPの写真を切り出し、トリミングやボケ補正まで自動で適用して、そのままシェアできる状態で保存する。カメラモードを切り替えずに動画も同時に残せる。
シャッターチャンスを狙ってカメラの後ろに立ち続けるのではなく、その場の体験に集中できるようにするという狙いだ。この機能は標準モデルのPixel 11でも利用できることができる。
カメラスタイルは、暗いトーンや暖色系など、好みの画作りをあらかじめ設定できる機能。イメージングパイプラインの深い層で処理するため、単なるフィルターとは異なるアプローチだと説明された。
クリエイタースイートは動画クリエイター向けのツール群で、画面上のテレプロンプター、プロジェクトフォルダへの直接保存、音声ビジュアライザーなどを含む。Googleフォト側にはクリップを並べ替えられるストーリーボード機能が加わる。
なお、クリエイタースイートはGoogle Pixel Cameraアプリ専用で、ZoomやTeamsなどサードパーティ製アプリでは利用できない。動画性能では動画ブーストが8K撮影(24/30 FPS)に対応し、動きの多い場面向けの「動画手ぶれ補正 Pro」も追加された(いずれもPro/Pro XL)。
Gemini Intelligenceは「先回り」へ
AI機能の柱はGemini Intelligenceの拡張だ。使用中のアプリの文脈を理解して次のアクションを提案する先回りのサポートが中心で、たとえば友人から旅行について尋ねられた際に、予約内容やフライトの運航状況を知らせるカードがポップアップ表示される。
カレンダーへの予定追加、マップへの場所の保存、会員番号のGoogleウォレットへの保存といった提案が、スマホ内のさまざまな場面で働く。プレビュー版としては、レストランで席を待つ間にロック画面へ店の情報が先回り表示され、人気メニューやおすすめの座席を確認できる位置情報ベースのインサイト機能も紹介された。
音声まわりでは、Gemini搭載の「AI 音声入力」が登場。「えーと」「あの」といった繋ぎ言葉を省き、意図を汲んですっきりした文章に仕上げてくれる。カメラ関連では、かこって検索がカメラのビューファインダーに統合され、目の前の花にカメラを向けて品種を特定するといった使い方ができる。日本語のメッセージ文化に合わせてオンデバイスの生成モデルを調整したステッカーメーカーの話もあり、日本市場を意識した作り込みが目立った。
ただし提供時期には注意が必要だ。Geminiがアプリと連携して複雑なタスクを処理する機能は現時点で日本未対応で、テイクアウト注文(カートへの商品追加など)も発売時点では利用できない。これらを含むGemini Intelligenceの各機能は、日本向けに順次展開される予定となっている。
プライバシーについては「オプトイン制」「オンデバイス処理とPrivate AI Compute」「動作の透明性」の3原則が示された。処理の場所は機能ごとのハイブリッド構成で、カメラ機能や夜景モードは完全オンデバイス、Ramblerはクラウド、Gemini連携はハイブリッドとのことだった。
価格と発売、そして「日本は最重要市場」
予約販売はオンラインが8月12日、店頭が8月13日に始まり、発売日は8月20日。Google Storeでの価格(税込)は以下のとおりだ。
Pixel 11
・256GB 136,800円
・512GB 156,800円
Pixel 11 Pro
・256GB 174,800円
・512GB 194,800円
・1TB 234,800円
Pixel 11 Pro XL
・256GB 207,800円
・512GB 227,800円
・1TB 267,800円
販売はGoogle Storeのほか、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルからも行われ、今回初めて一部量販店でもSIMフリーモデルを購入できるようになる。購入特典として全機種にYouTube Premium 3ヶ月無料(未登録者のみ)が付き、Pro/Pro XLにはさらにGoogle AI Proプランの6ヶ月無料が付属する。
Google Storeでは9月4日までの発売記念キャンペーンとして、対象スマホの下取りとストアポイント付与によりPro/Pro XLが実質最大137,000円分お得になるほか、全スマホ機種の下取り額を2万円以上増額中だ。なお純正のシリコンケース・クリアケース(各7,920円)は一足早く、オンラインで8月12日、店頭で8月13日に発売される。
価格戦略については、円安とメモリ価格高騰の中で、Pixel 11シリーズの値上げ幅は前年比おおむね1万円程度に収まっている。これについて、Google Pixel製品企画アジア太平洋事業統括リージョナル ディレクターの阿部和子氏は、日本はPixelにとって最重要のマーケットであり、為替の影響については「Google側で吸収できるところまで頑張ろう」という判断で価格をマネージしていると語っている。