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レポート

台湾と日本をスポーツデータで結ぶ。デジタル発展部がSPORTEC2024に出展

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2024年7月16日から18日まで、日本最大のスポーツ・健康まちづくり総合展SPORTEC2023が東京ビッグサイトで開催された。

ガジェタッチでは昨年、台湾デジタル発展部の初出展の様子を追った。今年も二回目となる出展の様子をお届けする。

スポーツデータの公共プラットフォームを公開する台湾の目的

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台湾デジタル発展部がスポーツの祭典、SPORTECに出展するのは、スポーツデータの公共プラットフォームを公開しているからだ。台湾は2023年春、近年EUで議論されているデータガバナンス法(DGA)に基づいた「Sports Data Altruism (スポーツデータ利他主義)」をスタートさせた。

これは、政府に対する国民の信頼を通じて収集したデータを公益性の高い研究のため活用することで、国内に新たな産業イノベーションを起こすことを目的としたものだ。データは個人情報の持ち主の了承を得て収集され、データの持ち主の許可を得て名前や住所などの個人情報と結びつかない状態で提供され、公共の福祉のために活用される。この「Sports Data Altruism」はアジアでは初の取り組みとして、昨年のSPORTEC2023で初めて日本国内に紹介された。

回収されたデータはサイトで公開されており、事業登録することで活用できる。現在収集したスポーツデータは2,147,698件、フィットネスデータが741,534件、生理学的データが948,079件。現在、台湾内でこのデータを56の企業が活用し、事業を行っている。(2024年8月現在)

多くの企業にとって、データ収集は大きな課題の一つだ。プライバシーを守りながらより多くのデータを集め、事業に活用するには、時間もコストもかかる。そこで台湾デジタル発展部が公共プラットフォームの登場だ。「我々が集めたデータがあるので、それを活用することで、ビジネスを拡大させませんか」というのが台湾側の基本的な狙いとなる。SPORTEC内にパビリオンを設置することで、日本企業との交流を図りビジネスマッチングの機会を探ると言うものだ。

今年はSPORTECへの2回目の出展ということもあり、SPORTECを主催するTSO International株式会社のCEOである佐々木 剛氏と、デジタル発展部のプロジェクトマネージャーKey Chen氏によるMOU(Memorandum of Understanding)セレモニーも開催された。

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今後、SPORTECと台湾デジタル発展部とでさらなる連携を行っていくとのことだ。

個性豊かなスポーツテック企業7社がブースに出展

今回パビリオンに出展したのは7社の台湾企業で、彼らは、それぞれ公益データを使ったサービスや商品開発を行いながら、自分たちが取得したデータの提供も行っている。ちなみに、全てのデータ回収には事前の同意が得られており、あくまでも個人情報と結びかない形であることが徹底されている。ブースで実際に商品に触ることができたので、全社を紹介していこう。

志合訊息 (WhiizU)

AI知能分析技術とサイクリング領域のトップ技術を融合し、AIスポーツデータ分析や個人の知能相互交流訓練、AI生成式訓練課程推薦を提供する企業。サイクリングデータと技術を活用することで、バーチャル・ 室内サイクリングトレーニングソフト「WhiizU」を開発。

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日本の高速道路を走るバーチャル体験をさせてもらったが、上り坂のペダルの重さが非常にリアルだった。

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聿承 (2Pi Studio)

ソフト・ハード技術と視覚芸術を組み合わせた革新開発に注力。専用の訓練用、相互が交流できるゲーム、エンターテイメントの没入体験システムなどを開発している。

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ブースでは、スポーツボッチャの体験コーナーを設置。少ない機材で簡単にどこでもできるのが特徴。高齢者向け施設などでの活用が期待される。

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神宝医資股份有限公司 (Shenbao Medical)

知能スポーツマット「Stampede」を開発。 音や光の効果と競技ゲームを通じてスポーツと娯楽のプラットフォームを提供している。

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光った場所を足でタッチすることで点数が加点される知能スポーツマット。2名以上で同時に遊ぶこともできるので、スポーツジムやアミューズメントパークにあれば、仲間と一緒に楽しめそうだと感じた。

矽響先創 (Silicon Sound Innovations)

AIoTと各種マイクロセンサーを活用して健康管理プラットフォームを提供。 AI分析後の情報提供でリモート医療や運動管理をサポートしてしており、IoTスマートインソールセンサー「dBio」を開発。

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IoTセンサー付きのスニーカーなどは既に市販されているが、dBioはどんな靴でも対応できるインソールとアプリ開発をセットで供給している。停止時の体重移動など、繊細なデータを収集できるので、例えばゴルフコーチがこれを導入することで生徒のフォームを確認できるなど、ビジネス活用が期待される。

虹映科技 (Joiiup)

予防医学の推進者として、個人及び企業向けに健康促進サービスを提供。 AI健康計画やパーソナル化健康促進サービスJoiiSports、JoiiCare、JoiiStore を提供している。

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主な仕様シーンは、企業への福利厚生としてのサービスの提供だ。iPhoneアプリをダウンロードし、毎日データをとることで、自分に必要な食事や運動を提案。自宅でできるトレーニングのフォームをスマートフォンのカメラで確認し指導するなど、包括的にユーザーをサポート。実際にアプリを体験してみたが、とてもわかりやすく、日本語のローカライズも完了していた。企業導入だけでなく日本市場へのサブスクリプション販売も期待できる。

宇康医電 (Ucare Medi)

健康スポーツ応用製品の自社開発を行う企業。基礎体力検査システムやuGymデジタル・フィットネスクラブ、スポーツゲーム体験応用を提供している。

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ブース内ではバーチャルカヤックを展示。こうしたバーチャルスポーツは、エンタメとして楽しいのはもちろんだが、幅広い年齢層が体験できるのが強みだ。高齢者でも子どもでも使えることから単なるエンタメではなく、生涯スポーツとして大会を開催したり、スポーツ交流にも活用できる。

愛吠的狗 (Barking Dog)

ゲーム化応用を核に、AR、VR、Blockchain、「AI Amaze 彗星大使」などのAIを活用したサービス製品製品を開発。 観光、アミューズメント、小売業界へのサービス提供や、軍隊警察などのシミュレーショントレーニングで高評価を得ている。

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ブースでは、半円型のバランスボールを使ったバーチャルサーフィンが展示されていた。

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このバランスボールを左右に揺らすことで、波間を進んでいくのだが、思った以上に筋肉を使う。楽しみながら体幹を鍛えられそうだ。

今回の出展に伴い台湾デジタル発展部では、いくつかのスポーツテック企業や団体への企業訪問も行った。台湾人は日本人と背格好が似ており、データ活用にズレが少ないというメリットもある。そうしたことから、今後も日本企業とのビジネスマッチングを推し進めて行きたい意向があるという。

親日の国であり、古くから日本との交流を続けている台湾企業と日本企業がタッグを組むことで、新しい未来が開拓されていくことに期待したい。

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