Appleが10月17日に発表したApple Pencil(USB-C)が発売された。今回は事前レビュー機を借りることができたので、実際に数日使って細かい部分をチェックしてみた。
まず注目したいのが、やはり本体のUSB-Cのポート部分が隠されているキャップ部分だろう。Apple Pencil(第1世代)はキャップを外すとLightningコネクタが出現するというものだったが、こちらはキャップ部分をスライドするとUSB-Cポートが出現するというデザインになっている。このキャップは外れないのでどこかに置き忘れてしまうという心配はない。ちなみにUSB-Cケーブルは同梱されていないので別途用意する必要がある。
また、これはぜひ実機を触ってみて欲しいのだが、このキャップのスライドが実に気持ちいい。サクサクという小気味いい音とピタッとハマる感じはクセになる。何度もサクサクやってしまうのだ。
Apple Pencil(USB-C)とApple Pencil(第1世代)(第2世代)を並べてみた。Apple Pencil(USB-C)はApple Pencil(第2世代)とデザインが近いことがわかる。しかし、長さはApple Pencil(第2世代)の方が少し長い。
持った時の重さのバランスをApple Pencil(USB-C)とApple Pencil(第2世代)で比較すると、誤差の範囲かもしれないがApple Pencil(USB-C)は後ろに重心がある感覚がある。これはUSB-Cポートが後ろにあるのが影響してるかもしれないが、気になるかどうかは使う人次第だろう。
ペン先はApple Pencil(第1世代)(第2世代)と同様のものが使われている。交換チップも現在販売されているものが利用できるというわけだ。
さて、ここからは仕様についてまとめておこう。Apple Pencil(USB-C)の対応機種だが以下のようにUSB-Cを搭載したiPadになっている。
- 12.9インチiPad Pro(第3世代、第4世代、第5世代、第6世代)
- 11インチiPad Pro(第1世代、第2世代、第3世代、第4世代)
- iPad Air(第4世代と第5世代)
- iPad(第10世代)
- iPad mini(第6世代)
充電やペアリングはUSB-Cで行うことになるが、iPad(第10世代)やiPad Proなどの側面にマグネットでカチッと取り付けることができる。
この時充電・ペアリングができないのでApple Pencil(USB-C)はスリープモードになりバッテリーの減少を減らすことができる。
また、USB-C接続になったことで、充電はiPadからだけではなく、コンセントに刺さってるUSBの充電器からも、さらにはiPhoneからも可能となる。USB-Cケーブルがあれば充電の方法はいくらでもある。
なお、Apple Pencil(第2世代)に対応している機種だとApple Pencil(USB-C)も対応しているが、両方同時に使うことはできない。片方をペアリングするときにもう一方はペアリングが外れてしまう。
つづいて、実際にApple Pencil(USB-C)で文字を書いてみた。文字を書くときに重要なピクセルレベルでの精度やレイテンシーの低さはApple Pencil(第2世代)と同じ性能を誇るので、全く違いがない。非常に細かく繊細に書くこともできる。
仕様としてApple Pencil(第2世代)との比較では、圧力を感知するセンサー、ダブルタップでツールの切り替えが搭載されていない。特に圧力(筆圧)を感知するセンサーについては、やはりイラストレーターのように絵を頻繁に描いたりする人にとってないのは厳しい。そういう人にはこのモデルはオススメしない。
ただし、僕のように絵を描く頻度がほぼない人や、仕事でメモ用途に文字を書いたり、資料に注釈を入れたり、図形を書いて共有したりと絵を描く以外にもかなりたくさんApple Pencilを使う用途があるのだ。
そういった人も今まで、プロ仕様のApple Pencil(第2世代)やApple Pencil(第1世代)を使わなければならなかったわけだが、今回Apple Pencil(USB-C)が加わったことで一つ価格の安いモデルが選択肢が増えたことは喜ばしい。
すでにApple Pencil(第2世代)を持っている人はこのApple Pencil(USB-C)を買う必要はないだろう。だが、これからiPadを使ってみようと考えている人にとってみれば純正からノーティング向けのApple Pencilがあるのはとても重要だ。まさに、僕みたいな人が使うApple Pencilといえるだろう。
iPadはクリエイターだけのものではない。誰でもどんな使い方をしてもいいのだ。動画視聴端末でも、事務作業含めて仕事でバリバリ使ってもいい。そこでApple Pencilを使うことで新たに用途の広がりが生まれる。ちょっとメモを取るだけということがかなり便利なのだ。
Apple Pencil(第2世代)と比べてしまうと…というのは理解できるが、今回のApple Pencil(USB-C)は、より多くの人にApple Pencilを使ってもらうためのスタンダードモデルと呼べるのではないだろうか。
個人的にはiPadを購入するときの一つの悩みとして、Apple Pencilを一緒買うかどうかというのはよく相談されるのだが、Apple Pencil(第2世代)が価格や性能がオーバスペックと思っていた人にも、サードパーティ製の製品とともにApple Pencil(USB-C)を選択肢として紹介することができるのが嬉しい。