ラスベガスで開催される世界最大のテクノロジーの展示会CES。「CES楽しいよね、でもお高いんでしょう」と、 皆さん思いますよね。なんせラスベガスの街が機能不全になろうかっていうくらい人が押し寄せる大イベントで、航空券も高くなりますがホテル代がひどくて、普段1万円しないようなホテルが3万4万当たり前で、しかもそれでも空きがなかったりします。
まさに資本主義の権化アメリカ合衆国!ということが実感できると、現地でプラスティック容器なのに2,800円したカレーを食べながら筆者も思ったわけです。
なお筆者は40歳前後にアメリカ生活を経験しており、今回の手配についても各種リスクを勘案しています。気安く真似ると場合によっては命の危険すら発生し得ますので、似たような手配をするのであれば必ずアメリカで大人として郊外生活を経験した人のアドバイスを受けるか、あるいは筆者Twitterなどに質問してください。旅行者としては比較的安全な国ですが、生活に入り込むと怖さがありますので。
※航空券等の費用は「税込総支払額」で表示しています。
CESに参加するための通常予算はいくらかかる?
入場料:CES自体の入場料は安く、時期によりますが通常は$100、ギリギリになると$300に値上がりします。外国のこうしたイベントの中には入場料15万円などもザラあるので、CESは安めです。それでも日本の展示会と比べると、ちゃんとお金は取るという印象ですね。
航空券:ラスベガスは原則直行がなく、どこかで乗継になります。普通にルートを組むとロサンゼルスになることが多いでしょう。なお今回自分が「CES行こうかな」と思ったタイミングはすでに11月も半ば、開催まで2ヶ月を切っていたためか西海岸各地経由航空券は30万円(往復税込:以下同様)を超えており、かろうじてホノルル経由のハワイアン航空が25万円程度。しかもホノルルで一泊必須なチケットが多数ありました。ホノルルに寄ること自体は楽しいものの、宿が高い。アメリカ西海岸にはJAL系LCCの「ZIPAIR」が就航していますが、年末年始はフライトがない時期もあり、少なくとも往路は使えませんでした。
コロナ前の2019年に渡航した際は、アメリカン航空の成田→ラスベガス直行CES特別便を利用し、帰路シリコンバレーに立ち寄って122,000円でした。実はこの特別便が日本などのOTA(Online Travel Agency)に出回る前にアメリカ版のExpedia.comから買ったのでこの額になりましたが、通常はCES時期は30万円を切ればいいほうでしょう。
宿泊費:これはもう普通にホテルを取ろうとすると「ちょっと冗談はやめてくれる?」という金額になりまして、1泊4万円で済めば御の字です。ですので、ホテルの場合はツインルームにエキストラベッドを入れて3人で割り勘、なんてことをやりがちです。
食費:円安+アメリカの物価高で本当に洒落になりません。フードコートの中華お弁当で$15~$20つまり2,000円じゃ済みません。しかもそういう食事を続けると、とても疲れます。
筆者渡航費用①:航空券(罠解説付)
航空券:結論からいうと、羽田発着・長時間乗継ナシで169,520円でした。しかも帰路はエコノミーに少し追加しコンフォート席を選んでこの額。さらになぜか帰路はビジネスクラス席にアップグレードされました。年初から今年分の幸運を使い果たしたかもしれません。
なお、航空券探しにとても役立つのは、こちらの「スカイスキャナー」です。
このサイトは俗にいう「メタ検索」、つまり複数の航空券販売サイトの情報を定期的にキャッシュし、そこから情報を得て一覧表示するもの。ですので、お得そうな航空券をみつけていざ申し込もうとしたら、そのデータそのものがゴーストだった、ということも頻発します。それ前提でも、旅のヒントおよびルート検討に使うと大変便利です。
CESのような混雑時期における航空券探しのコツは、日程と発着地に幅を持たせることです。たとえばラスベガス行は高くてもロサンゼルス行なら数万円安い、なんてことはよくあります。
今回は大晦日発の羽田→シアトル→ロサンゼルスの片道デルタ航空を破格の53,580円で発見。「えっ」という価格でしたこで、これに飛びついたのです。
ロサンゼルス~ラスベガスの国内線は、距離が近いこともあって、CESのような繁忙期でも1~2万円です。帰国便はLCCのZIPAIRも使えますが、今回はそれよりお得な79,345円のデルタ航空便があったのでそちらを利用しました。ZIPAIRは片道4~5万円と安いのですが、荷物預けと機内食は別途課金が必要で、高く付いてしまう場合があります。
なお通常のノービザ渡航(=ESTA)では、帰国の航空券を予約していないとアメリカ入国はできません。昔は雑なチェックでしたが、昨今は厳しいですよ。
【落とし穴1:信頼できない旅行会社もある】
航空券を取得する際気をつけて欲しいのは、ネット上には信頼できない旅行会社もある、ということです。日本でも以前「支払った直後に旅行会社が倒産しお金パーに」ケースがあり、今は強めの供託金を積む仕組みで救済されますが、海外ではそうではありません。筆者は航空会社のサイト・大手OTAのExpedia・そしてスカイスキャナーの運営元で日本語サポートも充実しているtrip.comを信用しています。
【落とし穴2:往路乗継独特の事情がある】
アメリカは最初の到着地で例外なく全員が入国審査を受けます。たとえ乗継で他国に行く場合でも、です。荷物を受け取り入国審査の列に並ぶわけですが、ロサンゼルスやマイアミなど中南米からの便が多い空港ではやたら時間がかかります。なので乗継時間は2~3時間みておく必要があるでしょう。それでも筆者は、国際線遅延で乗継し損ねたことが何度もあります。
【落とし穴3:復路乗継は楽だけれど荷物スルーが良い】
復路についてですが、アメリカは出国審査がありません。一応、航空会社が出国者を記録はしていますが、たとえばサンディエゴ→ティファナなどのアメリカ・メキシコ陸路国境は一方通行の回転ドアになっていて、パスポートなくても通れちゃうくらい、本当に出国審査はないのです。アメリカで警察に追われることになったら、こうやって逃げましょう(不要な情報)。
ですので、復路便の乗継は気楽です。ただしできるだけ、同じもしくは同系列の航空会社にしておきましょう。
たとえば国内線=アラスカ航空・国際線=デルタ航空、としておくと、系列が同じなので出発地で荷物を預けるだけで日本まで送ってくれます。(これをスルーバゲージといいます)この形なら、乗り継ぎ時に荷物を取り出して預ける必要はありません。乗継時間が30分と短時間でも、航空会社が発券してくれることがあるくらいです。
一方で荷物スルーがない場合は、荷物受け取り、再チェックイン、保安検査を受けて搭乗となるため、2時間でギリという感じです。特にロサンゼルス国際空港のようにターミナルがたくさんあり移動も不便な空港では、余裕が必要です。なお、スルーバゲージが可能な乗継になるかどうかは、スカイスキャナーの検索でわかります。
【落とし穴4:アメリカ国内LCCも癖がある】
アメリカの国内線には格安航空会社LCCがあります。西海岸でよくみるのはサウスウエスト航空・フロンティア航空・スピリット航空です。
この中でサウスウエスト航空は預け荷物2個無料+乗り損ねても割と手厚くサポートされ、定時運行率も高いので、よく利用しています。ただし順番に奥から詰める自由席なので(本当にそうなので結構笑えます)、搭乗時のアナウンスを聞き取れることが必須になります。
フロンティア航空・スピリット航空は筆者はほとんど利用したことないのですが、夜になるほど遅延が大きくなる傾向はどの国のLCCにも共通のようです。
このあたりの事情はいくら話を聞いても現地で実感しないとわからないものです。そして手配をミスると簡単に詰みますが、空港の中にいるぶんには治安の不安はまずないので、とにかく時間の余裕を持って取り組みましょう。
筆者渡航費用②:Airbnb
宿泊については、今回はAirbnbで良い感じの戸建を6人シェアで借りました。ラスベガス中心部からはクルマで15分、空港までは10分という感じです。通勤時間帯でもさほど増加はしませんでした。アメリカでは、まともな住宅ほど、クルマでしかアクセスできない地域にありますので、Airbnbをするなら、レンタカーは必須になります。
今回借りたのは4ベッドルームの家。割り勘の結果1日6,800円という素晴らしい節約ができました。レンタカー代も後述のTuroで1日平均2,900円、さらに自炊ですからこれも助かりましたし、CESに来ているお友達を招いてBBQもしまして、ちょっとこれ青春ドラマみたいじゃない?みたいな日々を過ごしました。
アメリカの家ですので主寝室にバスルームがあります。ここを女性2人の部屋にしました。他の2つの寝室のひとつを筆者が専有し、個室が足りなかった人は二段ベッドのある部屋に、という割振でした。過去のCESでのツインルームにエクストラベッド詰め込みという展開から比較すると、これはもう天国レベルでしたね。
初日に大量のビールとおつまみを買い込んで無尽蔵に飲めて、情報交換をする仲間もいるという、もしかしたら日本にいるより良き環境だったかもしれません。
Airbnb利用のコツですが、何はなくとも立地です。
ラスベガス近辺でも、特に中心部にまあまあ近いあたりに足を踏み入れてはいけない地域は存在しますが、これの発見方法はあえて書きません。地域をミスると命の危険もあるとだけ申しておきますので、必ずアメリカ生活経験のある人に確認してもらいましょう。
まともな住宅街ではご近所さんは基本「付かず離れず」な感じで快適ですが、顔を合わせたら挨拶するくらいのことは当たり前にやりましょう。筆者は深圳に多くの日本人を集めて企業訪問もしたことありますが、日本人はすれ違う人との挨拶が苦手な傾向にあります。文化的な背景が違うので仕方ないことですが、参加メンバーには「日本とは違うんだよ」ということを事前に共有しておいたほうがいいでしょう。
なおAirbnbの入退室情報や設備についての質問は、申込者以外不可。代理質問はできません。予約時に全額クレカにチャージが行きますので、枠の余裕にもお気をつけください。
また、申込者以外の利用者もAirbnbのアカウントを作成し、必ず利用者として予約に名前を入れておくのは最低限のマナーになります。
近隣騒音についてはあくまで筆者の印象ですが、隣との距離も日本よりはありますし、室内での話し声が多少漏れたくらいで問題にはならないでしょう。ただし屋外で大声で話していればうるさいですし、アメリカはいろんなことが起きますよ、とだけはお伝えしておきます。
Airbnbと運転~アメリカ運転は安易に考えないでね~
ラスベガスでAirbnbを借りるとしたら、クルマなしで暮らせるところは逆にほぼヤバいので、レンタカー利用は必須です。
海外で運転する場合は日本で「国際免許証」を取得しますが、効力があるのはあくまでも日本の免許証のほうで、国際免許証は翻訳に過ぎません。つまり日本の免許証+国際免許証のセットで初めて効力を発揮します。
なお実際には、カリフォルニア州やネバダ州などでは国際免許証ナシで日本の免許証+パスポートなど(ローマ字氏名と西暦誕生日確認のため)で通用してしまったりします。筆者はだいたい国際免許証は持たず、日本の運転免許証+アマチュア無線の免許証提示などで通してしまいますが、良い子は真似しないほうがいいかもしれません。
アメリカでの運転は左ハンドル右側通行で、独特のルールもあり、ミラーが距離感優先で視界が狭いなど、いくつか重要な留意点があります。
筆者は初めてアメリカ運転をする人には「少なくとも、スクールバスについて、4Way Stopとは何か、前面駐車や、駐車状態から後退するクルマが優先、などの独自ルールを本で学んできてね」と伝えていますが、誰もしてきません(笑)。ただ、基本ルールを知らないと重大事故を起こしてしまうので、安易に考えず謙虚に取り組んでほしいと思います。
筆者渡航費用③:カーシェアの「Turo」
アメリカのレンタカーは案内される金額こそ安いのですが、保険代がかなり高くつきます。そして最後の精算まで金額が不明瞭なこともあります。その点、個人カーシェアの「Turo.com」は明朗会計で保険条件も明確で、何より安い!というのが助かります。
Turoの保険条件については、必ず各自で確認をしてください。なお一般論としてですが、Turoで貸出している人に話を聞いたところ「俺ら一般庶民は入れないくらい充実した補償の保険になってる」と言っていました。でも必ずご自身で内容を確認してくださいね。事故って大変な目にあっても筆者は知りませんよ~。
今回、序盤はTesla Model Xを借りました。これはスーパーチャージャーでの充電代も含め総額$200/日かかりましたが、次に借りたDogdge Grand Caravanというミニバンは5日間で保険込4万円というお安さでした。
クルマ運用の都合で1日だけ普通にエンタプライズ・レンタカーで小型車を借りまして、これが保険含め$112.13とずいぶん高くつきました。これがレンタカーの平均です。今回もTuroのお得さと車種選択肢の豊富さが活きる結果になりました。
ただしTuroはクルマの持ち主と仔細なやりとりが必須です。さらに空港までクルマを運んでもらうと+$75かかるなど、割と高い設定になります。
筆者は今回、Turo車両の常置場所にLyft移動で取りに行く選択をしましたが、Dodgeの置き場は、あまり良い場所ではありませんでした。借り出し・返却とも昼間になるよう配慮はしましたが、そうした場での夜間の受け渡しは絶対に避けましょう。
なおこれはレアケース過ぎる話ですが、筆者のメインスマホは中国本土版に自分でグローバルROMを焼いたもので、Google Play認証が取れておらず、Netflixなどごく一部アプリが使えません。そしてTuroのアプリもその「ごく一部」に入ってまして、渡航直前に急遽機種変更するハメとなりました。
Turo車両の解錠にはTuroアプリを使いますし、借出時・返却時には傷有無確認のため大量の写真を撮影しアップロードしますので、回線がつながっていることは絶対に必須。また運転者の追加は容易にできますが、借出と返却には契約者の立会が必須です。
またTuroのシステム上、予約を重ねることができないため、今回のように途中で車両を入れ替える際には結構詰みますので、そこも十分にご注意ください。
またTuroでやり取りするのは個人ですから、にこやかにちゃんと挨拶しましょうね。日本人って結構挨拶が(以下略)。
結局どれだけかかったか?筆者渡航費用のトータルは
どこにいようが食費はかかります。ただ、今回は自炊で安く済んだのだ純粋な出張費としては以下になります。。
- 航空券代:総額169,520円
- Airbnb代:54,485円(8泊・6人割り勘)
- カーシェア代:23,355円(TeslaとDodge・充電+ガソリン代込・6人割り勘)
【合計:247,360円】
どうですこの節約術!日本で飲み歩いてるよりも低コストですね。
また、地味ながら洗濯が自在にできるという点や、いつでもWalmartやDAISOで必要なものが買えるというのも、1週間を超える渡航では助かりました。そう、ラスベガスにはDAISOあるんですよ。
食費は自炊ですから日本にいるのと同水準でした。外食は超お高いですが、スーパーの食材、特にお肉は安いですし。筆者もパンケーキ焼いたりしましたが、メンバーには年越しそば・BBQ・ベーグルサンドなど作っていただいたり、送迎に貢献して頂いたりで、超感謝しております。
それほど凝った料理をせずとも、朝はトースト・バナナ・ジュース、お昼用にベーグルサンドとか作って、夜は調理済のお肉をオーブンで焼くくらいでも、結構充実した食生活が送れると思います。
なおアメリカの高級スーパーといえば「WHOLE FOODS MARKET」で、サラダバーが充実しているのでここで買うだけでも十分ではありますが、筆者の知り合いの年収億超えのアメリカ人が「WHOLE FOODSって高いよね」と言っていたことは補足申し上げます(笑)。
次はNAB SHOW
ラスベガスの重要展示会としては、4月に行われる放送機器の展示会「NAB SHOW」があります。放送局関係の人はもちろん、YouTuberや配信業の人にも有用な情報が多々得られますから、これに行こうとお考えの方も多いでしょう。
これも筆者は行った経験がありますが、CESほどには宿泊費は高騰しないので、やや気が楽です。
筆者も行きたいことは行きたいのですが、本業とやや異なり渡航費用がペイしないので、諦めております。レポート業務などのご依頼を頂ければ超喜んで行きますので、ご連絡をお待ちしております。