今年6月に開催されたAppleの開発者向けイベント「WWDC23」では、Apple Vision Proが大きな注目を集め、次期OSのプレビューも行われ例年以上の盛り上がりを見せた。
ただ、この「WWDC23」は、新製品を発表する場だけではない。他にも数多くのセッションやイベントが行われるが、その中で「Swift Student Challenge」というものがある。これは世界中の学生が参加する、Swiftを使ってのプログラミングコンテストだ。
その今年の「Swift Student Challenge」ではなんと日本から5人の学生が入賞するという大きなトピックがあったのだが、今回は内閣府男女共同参画局の理工チャレンジ(リコチャレ)の一環として、Apple丸の内でToday at Apple特別セッション「Exclusive:Swift Student Challengeの入賞者をお祝いしよう!」が開催された。
このセッションは事前に応募した参加者とApple丸の内をBOARDROOMにいる5人の受賞者をオンラインで繋ぎ、実際にどんなアプリを作ったのか、プログラミングする上での考え方などを受賞者が話すという形で行われた。
熊本県立大学の山田優斗さんが作った「結(Yui)」というアプリは、日本に昔からある和模様を作れるアプリ。基本の模様を選び、線の太さ、配色などカスタマイズすることで、オリジナルな伝統的な模様を作成することができるようになっている。
同じく熊本県立大学の秋岡菜々子さんが作った「Japattern Legacy」というアプリは、クイズ形式で日本の伝統模様を学ぶことができるアプリだ。伝統とテクノロジーの融合というテーマでは、山田優斗さんとも共通点があるが、秋岡さんは、プログラミングを始めてわずか1年も経っていないのにも関わらず入賞したという凄腕だ。
京都にある洛南高校の荒川陸さんが作ったのは、投扇興という日本の伝統的なゲームをアプリで再現したもの。桐の箱に乗っかる枕と呼ばれるものを、蝶と呼ばれる扇子を投げて、最終的な形で点数を競うゲーム。
まず高校生で投扇興をアプリにしようと考えたのも驚きだったが、何よりゲーム性の高さ、そして難しい銘という採点を自動でしてくれるのがポイントだ。かなり作り込まれたアプリに見え、実際セッションでもApple Storeのスタッフや他の入賞者も実際にプレイして盛り上がっていた。
慶応義塾大学の山口響也さんが作ったのは、物理シミュレーションをゲームにしたもの。木から落ちたリンゴを物理の法則を考えながら、Apple Pencilで線を引きながらカゴに回収するというもの。
そのまま学校の物理の授業に使えそうなほどのクオリティがあり、シンプルながらやめられない中毒性を持っているようで、実際に試した山田優斗さんは何度もトライしていた。
また、早稲田大学の高橋直希さんも入賞者の一人だ。世界全体で375人に選ばれたが、改めて日本から5人が入賞するというのはなかなかすごいことだと感じた。
今回のセッションではリモートで参加している人から多くの質問が寄せられ、プログラミングを始めたキッカケや難しいところなどについて答えていた。
荒川陸さんは最初からXcodeを使ったプログラミングに取り組んだと話し、周りを驚かせていたが、他の入賞者はSwift Playgroundsを使って初めたという人が多かったのも印象的だった。
実際、プログラミングと聞くとまだまだハードルが高く感じてしまう人も多いかもしれないが、Swift Playgroundsのようにゲームに近い形で学ぶこともできるようになり、よりプログラミングが身近になっているのが感じられた。オンラインの参加者からも自分もやってみたいというコメントが多く寄せられていた。
子どもたち参加のToday at Appleに飛び入り参加
今回のセッションはここまでの予定だったが、急遽同じ時間にApple丸の内で行われていた子ども向けの「サマーキャンプ iPadで夢の発明品をデザインしよう」に飛び入り参加。
子ども達が考えた発明に入賞者の皆さんがコメントするということが行われた。子どもたちの独創的なアイデアに驚きつつも、素晴らしいコメントをかけていて、参加していた子どもたちも嬉しそうだった。