美容家から絶大な支持を得ている「LOVE CHROME(ラブクロム)」。ピカピカに輝くコームの裏には、自動車業界の最先端技術が隠されていました。先月に東京ビッグサイトにて開催されたオートモーティブワールドでの意外な出会いから、ものづくりの新たな可能性をレポートします。
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スポーツカー由来の技術が生んだプレミアムコーム
プラスチックベースのコームに施された精密な金属めっき加工は、実は自動車部品の製造技術がベース。複数のラインナップの中には、24金めっきを施した最高級モデルも展開されています。
めっき加工の意外な可能性
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この製品のめっき加工を手がける塚田理研のブースでは、高級乗用車の部品をはじめ、様々なめっき加工技術が展示されていました。特に注目を集めたのが、3Dプリント製品へのめっき加工です。
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ブース中央に参考出品として展示されていた3Dパズルはストラタシスジャパン社の協力により3Dプリンタで作製されたもの。触ってみるとその滑らかさはもちろん、各ピースの裏側にまで均一なめっき処理が施されており、その精密さを物語っていました。
特筆すべきは、同社が小ロットの試作にも対応している点です。量産を見据えた開発が前提となりますが、複雑な形状のプロダクトや日頃から部屋に置いて使用するようなプロダクトなど、ディテールの確認をしっかりおこないたい場合にはとても有用です。
塗料をはじめ、めっき加工をおこなうために部品を浸す槽など準備が必要な技術であるため、なかなか小ロットの対応は簡単でないですが、この小ロット対応は誰もがものづくりに参入できる時代において、大きな機会になるでしょう。
新時代のものづくりへの示唆
3Dプリンタでプロトタイプを作成した後、その製品化に悩むクリエイターは少なくありません。筆者も古い自動車を愛好する一人ですが、先日40年モノのクルマのサイドモール(樹脂+塗装)が劣化でパキッと折れてしまいました。
このパーツを3Dプリンタで作成するところまでは考えついても、サイドモールは装飾部品なのでカッコよく見せることは必須です。素人塗装でどこまでできるか悩み、結局折れたパーツを両面テープで貼り付けて使用しています。
高度なめっき加工技術は、そんなものづくりの課題を解決する一つの答えとなるかもしれません。また、めっき加工は美しい外観だけでなく、耐摩耗性や耐候性など機能性を付加する技術としても使用されており、新たな製品開発の可能性を広げています。