
2025年6月25日、東京都港区のTOKYO NODE HALLにて開催されたAmazon Music × Audible プレス発表会では、Amazon Music Unlimitedの新機能についての発表が行われました。
Amazon Music統括責任者のライアン・レディントンさんとAudible CEOのボブ・キャリガンさんによる登壇に加え、新しい学校のリーダーズ、安田章大さん、平野啓一郎さんといったゲストが、それぞれの視点からオーディオコンテンツの魅力や価値について語りました。
「音に納得する」オーディオの力

Audibleで配信され、その後書籍として発売されるオーディオファースト作品「息吹」をリリースされるなど、オーディオブック作品を積極的に手がけている小説家の平野啓一郎さん。現在は学びに特化した教養コンテンツ『A UNIVERSITY』をAudibleにて配信するなど、文学の枠を超えたオーディオコンテンツの制作を行っています。
文学作品を音で届けるオーディオブックの可能性について「聞くための物語を作ろうと思うと文字作品とは違うところがある。オーディオならではの作品というのはまた発展していく」と語り、さらに「母の運転する車のカーステレオで聞いた曲を40年ぶりに耳にすると、その時の思い出や経験、近くにいた人を思い出す。そういうことがオーディオ作品もあったら」と、音楽の記憶と同様に、オーディオブック作品への期待を語りました。

アイドルでありながら、Audibleにて湊かなえさんによる小説作品「夜行観覧車」の朗読も経験された安田章大さんは、「聴き手の耳元でささやくことはリアルではなかなかできることではないので、そのような仕事を経験できたことが本当に良かった」と述べ、また「触って初めてわかることを、目ではなく耳で知ることは、文字よりも柔らかくタッチできるのではないか」と語りました。
創作と配信の一体感

結成10周年を迎えた新しい学校のリーダーズはAmazon Music Studio Tokyoでの実際の制作体験をもとに「Amazon Musicのレコーディングスタジオでの収録はとても雰囲気が良く、楽曲作りにもいい影響を与えた」と、2022年に開設されたスタジオの使用感を語りました。
同グループはAmazon Musicで独占配信されている楽曲「BABY」をリリースしています。「作品は作るだけで終わりではなく、それを配信で届けられることは素晴らしく大事なこと。それがすぐに触れられるAmazon Musicにあることはありがたい」というコメントからは、アーティストにとって作品を届けるプラットフォームの重要性が伝わってきました。
Amazon Music+Audibleの新サービス

今回の発表における最大のニュースは、Amazon Music Unlimitedの中で、オーディオブックも楽しめるようになったことでしょう。これにより、HD音質での1億曲以上の楽曲、人気ポッドキャスト、そして豊富なオーディオブックを1つのアプリで楽しめる総合的なオーディオエンターテインメントが実現します。
さらに、サブスクリプションの一環として、Amazon Musicアプリ内でAudibleの90万作品以上のオーディオブックの中から毎月1冊を楽しめるようになります。
無料で聞けるオーディオブック対象作品には文学作品からビジネス書まで幅広いジャンルが含まれ、東野圭吾の『誰かが私を殺した』のように著名俳優・声優による朗読作品も用意されています。
Amazon Music Unlimitedの料金は個人プラン月額1,080円(Amazonプライム会員は月額980円)となっていますが、現在、新規登録者向けに4か月無料キャンペーンを7月14日まで実施中です。ただし、毎月2冊以上のオーディオブックを楽しみたい場合は、別途Audible会員プランへの加入が必要となります。
オーディオエンターテインメントの新時代
今回始まったAmazon Music Unlimitedの新サービスは、日本のオーディオエンターテインメント市場に新たな選択肢をもたらすことが期待されます。
筆者もHD音質に惹かれてAmazon Music Unlimitedを利用していますが、これまでAudibleには手を出せずにいました。しかし今回の発表会に参加したことで、文字作品が「ながら聴き」で楽しめることがわかり、オーディオブックという体験への関心が高まりました。
移動時間や作業中に音楽を楽しんでいた時間が、今度は本との出会いの時間にもなるというのは、本をじっくり読む時間がなかなか取れないビジネスマンには嬉しいポイントです。
また、一つのアプリで音楽、ポッドキャスト、オーディオブックという多様なオーディオコンテンツを楽しめる環境は、確実に新しいライフスタイルの扉を開いてくれそうです。多くのユーザーにとって、この統合サービスがどのような体験をもたらすのか、注目していきたいと思います。