1月22日より東京ビッグサイトで開催されている「第17回 オートモーティブワールド / 第17回[国際]カーエレクトロニクス技術展」。その会場で、輸送業界に革新をもたらす可能性を秘めた技術を発見しました。村田製作所のブースで展示されていたRFIDタグを使用したタイヤソリューション技術は、輸送業の命である車両の保全管理の煩わしさを大きく改善する可能性を秘めています。
タイヤにタグを埋め込んでデジタル化

村田製作所が開発したRFIDソフトウェア・id-Bridgeは、タイヤ内部にRFIDタグを搭載することで、製造から廃棄までのライフサイクル全体をデジタルで管理可能にするソリューションです。
RFIDとはリーダとライタ部品がワイヤレス(電波など)で通信をおこなう技術のことです。わかりやすい例でいうと、ユニクロのセルフレジがあります。レジに備え付けられたボックスの中に購入したい製品を入れると、値札についた情報を読み込んで金額計算が行われる、あの仕組みにもRFIDタグが使用されています。
今回村田製作所が展示していた技術の特筆すべき点は、タイヤメーカーの公開データベースと直接連携し、製造情報から在庫管理、点検記録まで一元管理できる点にあります。
技術の採用実績としては、すでに住友ゴム工業の製造工場でタイヤ内蔵RFIDタグへのシリアル情報書き込みシステム(SGTIN-96)として採用されています。さらに、世界的タイヤメーカーであるミシュランともライセンス契約を締結しており、ミシュランに限らず各種タイヤメーカーでの採用をはじめ、グローバルでの展開も視野に入れているそうです。
「見える化」で実現する効率的なタイヤ管理

今回のシステムのもう一つの特筆すべき点は、その実用性の高さにあります。タイヤ溝の深さを計測するデプスゲージと連携することで、各タイヤの残溝情報をデジタルデータとして記録・管理することが可能です。これにより、日々のメンテナンス管理や安全管理の効率化を実現しています。
また、今後は具体的には製造工程における品質管理の効率化や物流倉庫でのタイヤ在庫管理の自動化、フリート管理における予防保守の最適化、リトレッド(再生)タイヤの管理、タイヤの組み合わせ適正チェックの自動化という場面での活用が期待されているそうです。
今後への期待
自動車において、地面と接触しながら加速し、停止する過酷な役割を持つタイヤ。この重要な安全部品の管理は、これまでドライバーや主業務でない人たちの合間業務で行われることが多いタスクでした。
上で例に挙げた残溝管理も、実際には計測自体を省略することもありますが、紙やエクセル入力で管理していたデータがRFIDタグを用いてデジタル化されることで、属人的なやり方によるブレを抑えることができます。そしてその結果、予防保守の精度向上や、運用コストの削減、何より安全なタイヤでの事故リスクの低減にもつながる可能性を秘めています。
さらに洗練されていけば、タイヤの寿命予測や最適な交換時期の提案など、より高度な活用も期待されるかも?輸送業界の安全性を高める重要な技術として、その発展に注目したいですね!