
JBLの最新フラッグシップサウンドバー「BAR 1300MK2」の発表会に参加してきました。6月18日からクラウドファンディングが開始される本製品は、前モデル「BAR 1000」から大幅に進化した完全ワイヤレスの11.1.4チャンネルシステムです。
実際に体験してみた印象とともに、その進化ポイントをお伝えします。
前モデルから大幅パワーアップした構成

BAR 1300MK2は、前モデルのBAR 1000(7.1.4ch)から11.1.4chと大幅にスピーカー構成が強化されました。新たにフロントワイドチャンネルとリアサラウンドチャンネルが追加され、より滑らかで自然な音の移動を実現しています。スピーカードライバー数も前モデルから大幅に増加し、合計29個を搭載。
特にサウンドバー本体の高さ方向スピーカーは片側1個から2個に倍増し、チャンネル数増加で強化された水平方向の音に対抗できる天井方向の音圧を確保しています。

この圧倒的な音質を支えているのが「1スピーカー・1アンプ」の独立マルチ駆動方式です。従来採用されていた「1チャンネル・1アンプ」方式では、複数のスピーカーが一つのアンプのパワーを分け合うため、映画の激しいアクションシーンなどで音が左右に大きく振れる際にボトルネックが生じていました。しかしBAR 1300MK2では、29個すべてのスピーカーに独立したアンプが割り当てられているため、必要な場所に必要なだけのパワーを瞬時に供給できます。
また、サブウーファーも25cm単発から20cm水平対向デュアル構成に変更。振動板面積は28%拡大しながら、サイズは35%のコンパクト化を実現しました。さらにアンプ出力は前モデルの300Wから1200Wと4倍に強化され、密閉型設計による高音質と大出力を両立しています。
進化した音響技術の数々

MULTIBEAM 3.0:より精密になったビーム制御
前モデルにも搭載されていた立体的な音響空間を創出するためのMULTIBEAM技術が、今回からバージョン3.0として大幅に進化しました。最大の変更点は、BAR 1300MK2専用に最適化されたアルゴリズムの採用です。
従来は幅広いモデルで共通のアルゴリズムを使用していましたが、今回は本機の横幅やスピーカー配置に特化した調整により、よりシャープで指向性の高いビームを放出できるようになりました。この進化により、隣接チャンネルとの出力範囲の重複が最小化され、一つ一つの音像がより明瞭に定位します。
試聴では、数メートル離れた場所から聞こえる音が、ただ大音量の迫力を持つだけではなく、本当にその距離の先に音源があるかのような自然さで再現されることを実感できました。
PUREVOICE 2.0:よりインテリジェントな音声強調
前モデルにも搭載されていたPUREVOICE技術が2.0に進化しました。従来の「低音・高音を下げずに声を強調する」基本機能に加え、音量レベルとコンテンツの種類を考慮した動的調整機能が追加されています。
静かなシーンでは声も控えめに、アクションシーンでは強めに調整するなど、映画の流れに合わせてリアルタイムで最適化されるので、セリフが聞こえづらく音量を上げて、次のシーンでいきなり大きい効果音によってビックリ、ということがなくなります。
この技術により、ユーザーは映画の始まりから終わりまでリモコンに触れることなく、常に最適な音声バランスで楽しめるようになりました。
SMARTDETAILS:全く新しい没入感向上技術
BAR 1300MK2で初搭載された新技術です。PUREVOICEの音声強調技術を効果音や環境音にも適用し、細かな音の輪郭を強調することで映画への没入感を大幅に向上させます。
ジュラシック・パーク本編を用いた試聴では、ベルトの金属部分が擦れるような微細な音まではっきりと聞こえ、画面の世界に引き込まれる感覚を味わいました。筆者は普段、映画やドラマを長時間集中して見ることが得意ではないのですが、この技術により数分間の試聴でも作品内容に夢中になってしまうほどの没入感を体験できました。
IMAX Enhanced認証を国内初取得
BAR 1300MK2は、JBL初のIMAX Enhanced認証を取得しています。これは前モデルにはなかった新機能で、劇場用IMAXシアターの音響体験を家庭で再現するための認証プログラムです。これにより、ディズニープラスなどで配信されているIMAX Enhanced対応コンテンツを本物のシアターのように最適な音質で楽しむことができます。
より使いやすくなった設計とUI

本製品では、リアスピーカーの脱着方式も改良されました。前モデルのマグネット式から上下スライド式に変更され、片手での簡単な取り外しが可能に。また、本体ディスプレイも液晶から有機ELに変更され、現在のモードや再生タイトルなどが、照明を落とした部屋でもより見やすく滑らかな表示で再生されます。
デザイン面では、掃除しやすいフラットなトップパネルを採用し、カラーもマットブラックに変更。サウンドバー自体の存在感を抑え、より映像への没入感を高める配慮がなされています。
新たな「まったり」使用シーンの提案

前モデルでは、サウンドバーとして使用する「平日すっきり」、サブウーファーを取り外して背後に設置しサラウンドを楽しむ「休日どっぷり」を提唱していましたが、BAR 1300MK2では新たに「何時でもまったり」の提案がなされました。
サウンドスケープ機能では映画や音楽鑑賞をしない時にもサラウンドで環境音を流すことによって、生活音をマスキングしてリラックス空間を作り出したり、ナイトリスニングモードでは夜間の視聴、ブロードキャスト機能ではリビングとキッチンなど離れた場所での同時視聴など、一台で多彩な使用シーンに対応します。
これらの機能により、一台で映画鑑賞からリモートワーク、音楽鑑賞まで幅広くカバーできるようになりました。一般的に「Less is More(より少ないことはより豊かである)」と言われますが、BAR 1300MK2では「More for Less」を実現しています。一つのデバイスに多機能を追加することで、かえって不要なデバイスを減らし、設定の手間も省けて、結果的に自分の好きなことだけに集中できる環境を作り出せる次世代のサウンドバーなのです。
際立つコスパ、11.1.4chが20万円台前半〜
BAR 1300MK2の一般販売予定価格は228,800円(税込)で、前モデルから上位グレードとしての位置づけとなります。ちなみにJBL調べによると、本製品と同等となる11.1.4chのシステムを他社製品で構築すると150万円程度の試算になるそう。完全ワイヤレスでこの音を実現している唯一無二の価値を持つ製品と言えるでしょう。

BAR 1300MK2のクラウドファンディングは6月18日(火)午前10時にGREEN FUNDINGで開始され、8月31日まで支援を募集します。クラファンリターンの納期は9月頃を予定しており、早期支援では最大18%オフの特別価格で支援可能です。また、2台セットプランでは最大20%オフのさらにお得な価格設定もあるそうです。
本製品のティザーページはすでに公開されています。
なお、プロジェクト期間中は渋谷のSHIBUYA TSUTAYA 4F「GREEN FUNDINGタッチ&トライ」ブースや二子玉川の「蔦屋家電+」など、実店舗でも実機展示が予定されています。高割引のリターンは数量も限られていますが、支援を検討されている方はぜひ実際に足を運んで音質を体験してみることをお勧めします。
特に今回紹介したMULTIBEAM 3.0による音の広がりやSMARTDETAILSによる没入感は、実際に聞いてみないとその魅力が伝わりにくい部分もあります。
前モデルのBAR 1000で確立された完全ワイヤレスサラウンドの概念を、あらゆる面で進化させたBAR 1300MK2。技術的な進歩だけでなく、より多様なライフスタイルに対応した機能拡張により、ホームエンターテインメントの新しい可能性を示している製品です。映画好きはもちろん、普段の音楽や動画視聴をより豊かにしたい方にとって、非常に魅力的な選択肢になるでしょう。