韓国・大邱市で開催されたFIX2024に、ガジェタッチがメディアパートナーとして参加しました。今日は現地取材を行った弓月ひろみと富永彩乃が会場の様子をお届けします。
ソウルから特急電車で1.5時間ほど。ソウル、釜山、仁川につぐ人口250万人の都市が大邱(大邱広域市)です。
本年初開催となったFIX2024ですが、実はこれまで個別に開催されていた「ICT融合博覧会(ITCE)」や「大邱ロボットエキスポ(ROBEX)」を一つに統合しビッグイベント化したもの。
こちらがメイン会場となるEXCO、日本で言うと東京ビックサイトのような場所です。西(WestWing)と東(East Wing)に別れており、その二つが中央通路で繋がっています。
そして今回West Wingのちょうど真ん中に用意されたのがGlobal Media Zone。
アメリカ、インド、中国、フィンランド、マレーシア、フランス、ベトナム、スペイン、日本から合計13のメディアが参加しており、ガジェタッチはそのうちの一つとしてご招待いただきました。
ご覧ください、Gadgetouchのロゴが輝くステージ…!
我々が普段扱っている、消費者向け(皆さんが店舗などで買うことができる)ガジェットなどの分野を「コンシューマーテック」と言うのですが、我々のようなコンシューマーテックメディアだけでなく、ドローン、ICT、オートモーティブ、ビジネスなど多種多様な分野のメディアが集まっていました。
FIXにはアワードが二つあり、その一つがInnovex Awardこれは、FIXの出展者の中から優秀だと思われる商品・企業が表彰されます。表彰式には、経済副市長も登壇。壮大なオペラのエンターティンメントショーでスタートしました。大邱市がいかにこのイベントに力を入れているかがわかります。
そして二つ目のアワードが「Media Award」。こちらは世界から集められたメディアがFIXの会場内で独自のインタビュー取材を行い、その上でTOP3を決めるというものです。事前リサーチによりリスト化された9つの企業を直接取材し、CEOや開発担当に話を聞いてまわり、審査を行いました。審査カテゴリーは複数に分かれており、独自性があるかだけでなく、市場競争性の高さ、グローバルな市場への将来性なども加味されます。
そして授賞式。YouTubeではライブ配信が行われていましたので、詳しくはそちらもご覧いただきたいのですが、この記事では、ガジェタッチが選んだTOP3企業をご紹介します。
A+ARK
歯科衛生を専門とする教授がCEOを務める、ペットのための電動歯ブラシメーカー。犬の歯磨きは、健康のために不可欠だとわかっていても、ペット自身が強い抵抗を示したり、噛み付いたりすることで、飼い主が諦めてしまうこともしばしば。そんな状況を打破すべく開発されたのがこの歯ブラシです。
ブラシの中央部分が、プッシュ式のボタンになっており、そこにペットがグッと噛み付くことで電源がONになる仕組み、ペットがストレスを感じている興奮状態でも使用できること、それにより飼い主のストレスが軽減されるのがポイントです。
我々の評価ポイントはペット市場という巨大マーケットに対する課題解決型商品であること、人間の歯科衛生のプロフェッショナルが開発しているというストーリー、ブラシの先端を取り替える必要があり、消耗品ビジネスとしても優秀であることの3点。さらに今後はペットが好きなチキン味の歯磨き粉を検討しているという部分や、日本のために猫用バージョンも開発したという部分も高評価につながりました。飼い主のストレスを解消し、ペットとの共生につながる商品で、今後が期待されます。
Vsion
透過率を変更できる特殊フィルムを開発している企業。日本では「入る前は透明、鍵をかけると真っ白になって中が見えなくなるトイレ」が話題を呼びましたが、商品としてはほぼ同等のもの。しかし韓国の自社工場で商品開発・大量生産することでコストパフォーマンスをさげ、導入障壁を低くしているという部分を評価しました。
アクリルやガラスに直接貼ることができて、透過率はリモコンで変更可能。10%、30%、50%といったように、数値で変えられるのですが、透過率を0にすると白いプロジェクタースクリーンに早変わりし、背面からの投射でほぼディスプレイのような見え方になります。
日本では、すでに奈良の蔦屋書店の入り口に導入されているそうで、これまでに施工した最大サイズは横幅5m程度のもの。インタビューでは「もっと日本に進出したい! 」というCEOの情熱も感じられました。
Breathing
Samsungからのスピンオフで、医療用の小型肺活量測定器を開発している企業。測定器本体を小型化し、タブレットを使って患者自身が簡単に測定できるのがポイントです。私たちも子どもの頃から一度は体験したことのある「すってー、はいてー」を繰り返すあの測定器ですが、取材してまず驚いたのは、肺活量測定そのものが、担当する医師によって数値にばらつきが出やすいという実態でした。確かに言われてみればすってー・はいてー、のタイミングは人によってまちまち。だからこそタブレットを人の代わりにすることで、数値が均一化し、疾患が見つかりやすくなる、というのは目から鱗でした。
また、今までは数値で示されていた測定結果を、文言を増やしPDFで見やすくすることで、患者が理解しやすく、医師が説明しやすい結果表示になっているのもポイントだとか。というのも、医師からの説明だけでは、なかなか投薬を始めてくれない患者や、理解が追いつかず拒否反応示す人が多い中で、「自分で測定し出てきたわかりやすい結果」を読むことで、理解度が高まり、治療に前向きになる人が多くなるからなのだそう。
昨今では中規模の病院の人手不足が叫ばれています。こうしたタブレットで人手不足を解消するだけでなく、医師の負担を減らし、結果を安定させ、患者自身も前向きにさせるという三方よしな医療機器には大きな期待が持てますね。
以上が、TOP3企業の紹介でした。動画での授賞式の様子やトークショーは下記からご覧ください。
また来年もFIX2024で、たくさんの企業とお会いできることを楽しみにしています。