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Apple Watchの進化の行方、現地で感じたAppleの目指す未来 ー 松村太郎のAppleリポート

こんにちは、松村太郎です。今回もアメリカ本社・クパチーノでApple Eventを取材してきました。ガジェタッチでは、新製品のお話と、実際のイベントの様子ついて少しラフな感覚で話していこうと思います。

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今年6月のWWDC2022は久しぶりのハイブリッド開催で、本社の社食「Cafe Mac」に巨大スクリーンを設置し、パブリックビューイング形式で実施されたのは、記憶に新しいところです。変わって今回は、イベント会場が1000人規模のシアターであるスティーブ・ジョブズ・シアターに戻りました。2020年からは数年は、コロナの影響でKeynoteが全編収録・ストリーミングになりましが、意外とテンポが早くて情報量が多いんですよね。ハリウッドクオリティーの密度の高い作りです。

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今回も本編はストリーミング配信で、現地にいるメディアもそれを見る形ですが、冒頭にティム・クックCEOが登場。WWDC2022と同じですね。オープニングの挨拶ののち、10時ちょうどにストリーミングが開始しました。ただ、個人的には、もうちょっとリアルのトーク部分があって欲しかったなと。というのも、このオープニングで、現地の記者や社員の皆さんの拍手が起こるわけで、これが、まさに”ライブ感”の全て。喋り始めが拍手と被って、最初の二言、三言が聞こえないので、そこは改善して欲しい点ですね。

最早生活必需品、キーワードは「エッセンシャルツールズ」

さて発表では、まず最初に”iPhone・Apple Watch・AirPodsが出ます”と宣言されたわけですが、ここで印象的だったのが ”エッセンシャルツールズ”と言うキーワードです。直訳だと”必要不可欠な道具”と言う意味になりますが、つまり生活必需品だと。電話と時計、そしてワイヤレスイヤフォンが必需品だという位置づけを、ここで再確認したんです。これは印象的でしたね。スマートフォンが生活必需品と言うことは、疑う余地もないですが、同じ文脈にスマートウォッチとワイヤレスイヤフォンを加えてきた。この2つのウェアラブル、アクセサリーが、生活必需品の仲間入りをして、互いに相乗効果を狙っていきますよ、と言うアプローチなんです。

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注目したいのは、発表の時間配分。今回Apple Watchの説明は約40分、Air Podsは約8分、iPhoneは約45分でした。つまり、Apple WatchはiPhoneと同じぐらいの時間が割かれていたんですね。新モデルが3つ出たからと言うのもあるでしょうが、時間の割き方が、メーカーとしてのAppleがどう大事にしているか、あるいはどんな価値を持たせているのかが表れる部分だと思っています。

今回、Apple Watchは、パフォーマンス向上ではなく、省電力性が重要視されている印象がありました。今は新しいセンサーをどんどん追加して用途を増やしている段階だと思いますが、必ずしもメインのプロセッサのスピードが重要と言う見せ方はしていませんでしたよね。

皮膚温センサーは何を測る?驚きの仕組みとは

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そして、皮膚温センサー。Appleは”体温計”とは言いません。体温計って、それこそエッセンシャルで、身近にある医療機器ですが、これは体温計ではなくて、皮膚温センサーとAppleは言っています。Apple Watchが手首に触れる部分と、ディスプレイ側にそれぞれ温度センサーが入っていて、その皮膚の表面温度を計測するわけなんですが、これって、環境の温度に応じて結構変化するんですね。簡単に言えば、夏に日差しが当たっている皮膚の温度と、冬の北風が吹いている時の温度は当然違うわけです。

でも、環境温度と皮膚の表面温度はとても密接に関係する。だから、環境温度と皮膚表面の温度の両方を測って、状況を判断するんです。ただ、表面温度にすぎないので体のコアの温度はわからないから、体温計とは言えない、と言うことなんでしょう。

ちなみに、いつでも温度を測れるわけではなく、就寝時の体温の変化差分の取得です。だから”あなたは今、何度ですよ”っていう表現ではない。また、この結果を得るために5日間装着して寝て、データを取る必要があります。この皮膚温計の最初の活用法として、女性の周期や排卵のタイミングを予測が紹介されていました。就寝時に時計で表面温度を取る行為は、きっと人類初だと思いますが、スマートウオッチが普及すると、こうしたデータがたまって、新しいことがわかるようになる、そういう期待がありますね。

重大な事故から人間を救う「衝突検知」の機能

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もう一つ、新しい要素が衝突検知です。車の衝突の検出をし、256Gまで計測することができる加速度センサーを入れてきました。今までもジャイロスコープはありましたが今回は256Gまで計測できるようになりました。これで事故重大な事故の検出が可能になります。

前からの衝突、側面からの衝突、後ろからの衝突、そして横転。これを全部検出して、安全確認を行います。装着した人からの反応がなければ、自動的に場所と状況を伝える、緊急通話が発信されます。人が転んだ際に通知する「転倒検出」は既に搭載されていますので、それの車版ですね。

なお、この機能はApple Watch SE、Ultra、iPhone 14シリーズの全てに搭載されました。これは、本気で”人の命を守る”へのフォーカスだと考えられます。これまでApple Watchのアプローチのメインは心拍でした。これは、アメリカでの死因の1位が心臓病だったことに起因しているでしょう。心拍数、心電図、血中酸素の濃度を計測、異変に気づいて治療に回そうと機能が充実させてきたわけです。じゃあ、次にするアプローチは何かということで、交通事故だと。スマホだけではなくて時計でもできるようにしよう、安いモデルも高いモデルも含めて、今年出る世代に関しては全部計測できるようにしようと。そういう”一気に仕掛けてきた”というところでしょう。

これは、ワールドワイドプロダクトマーケティングのトップがフィル・シラーからジョズウィアックに変わってから、良い機能は、上位・下位モデル関係なく導入しているんです。特に安全やプライバシーはまさに必須のもの。上位モデルだけが事故で通報されて助かるとなれば、命を選別しているとも考えられます。だからこそ、コストを問わず下のモデルに入れるべきと考えているんでしょう。

Ultraを実際に触ってわかった「注意したいこと」

最後にApple Watch Ultraです。アメリカだと799ドル、日本だと12万円台です。

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デザインは今までのWatchに、平らなお皿が乗ったような形状です。基本的な性能は共通ですが、高度なGPS測位と水深計・水温計が、皮膚温センサーとは別に搭載されています。また外部・外環境の温度センサーと皮膚の温度と、水中に入った時の水温の検知が可能です。温度センサーは3つそれぞれ入ってるんですよね。なかなかこれはすごいことです。

そして、耐久性が上がっています。今までは岩などに当たるとカバーガラスが割れてしまっていたんですが、チタンボディーとガラスの縁取りにし、サファイアクリスタルのガラスをはめ込んでいる。こうして堅牢性を強化しています。

皆さんは、”Ultraはオーバースペックでは?”と感じているかもしれません。確かに49mmと大きいし、山に行かない、潜らないというのであれば、あまり使い道がないんじゃないかと。私も、最初はそう思っていましたが…実物触ってしまうと、がらっと印象が変わってしまいました。端的に言うとめちゃめちゃ欲しくなる。

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意外と大きさを感じないし、思ったより軽い。あと、昔はこれより重たい時計をしていたなと。そういう記憶が蘇りましたね。そしてチタンのボディーからフラットになったカバーガラスのデザインがめちゃめちゃ格好いい。これで何かちょっとやられてしまいましたね。

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デジタルクラウンの溝も、より深くなりました。そして反対側にはアクションボタンというショートカットボタンがつきました。このボタンは、カスタマイズが可能で、ランニング中にスプリットを打つとか、ディスプレイを見ずに押せるのが特徴です。

それからGPSですね。アメリカ、例えばカリフォルニアでは、国立公園が広大で、100km規模なんです。気軽にハイキングやピクニック、トレッキングとかに家族で出かける人も多いんですが、日本だと、富士山でも携帯の電波が入るんですが、アメリカでこういう場所にいくと、圏外のシーンも多い。そう言う時、衛星通信でGPSのポイントが得られる、迷わないというのは良いですよね。位置情報のデータは、基本的には無限に打てるよそうです。

そして、ダイビングに必要なダイブコンピュータとしての機能も搭載しています。ダイブコンピュータって、大体12万円から25万円ほどするものなんですよね。もちろん、酸素残量や水流量など、改善ポイントはいくらでもありますが、もはや価格破壊です。ダイブコンピュータの領域にもガバッと食い込んでくる、日常使いできるデジタル時計。そんなポジションが見え隠れしてきたなという感じがいたします。

Apple Watch Ultraは、現在のSeries 7や、全モデルの44ミリ・45ミリのバンドが使用可能で、使い回しができるのも良いですね。ちなみに、スティーブ・ジョブズ・シアターのハンズオンのコーナーで、ジョズウィアック氏と、すれ違ったんですが、彼はApple Watch Ultraにレザーループを使っていました。格好よかったですね。

Apple Watch Ultraは女性に大きすぎるのでは、という意見もありますが、説明員の女性も着けていて、違和感なくおしゃれに仕上がっていました。アウトドア志向かなと。ゴツめの印象を受けがちですが、服装と組み合わせてみると、結構自然に馴染むんですね。もしこれを読んでいる読者の中に、Apple Watch Ultraを”自分にはオーバースペックだけど付けてみたい”と思っている方がいたら、ご注意を。一度装着したら”あ、これだ”と、なっちゃうと思うので。本当にご注意ください。

SE人気はまだ続く。中国市場にもフォーカスが

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それと、根強い人気のApple Watch SEも、まだまだ売れるでしょう。SEについては、心臓にまつわる機能計測が不要な人。例えば若い人に良いかもしれません。ディスプレイのサイズはやや小さいですが、Series 8と2万2000円も違うので”これでいいじゃないか”という人は多そうです。SEなら、その誤差の価格分で複数バンドが交換できますね。

SEにはファミリー共有設定というのがありますね。これはiPhoneとのペアリングが不要でWatchを使えるというもの。なかなかキャリア側の対応が難しく、日本ではauのみが対応していますが、米国に次いで巨大な中国市場では、これを推しているんですね。そういう刺さる機能をきちんと用意している。今後、各国で売れ方のコントラストが出てくるのかもしれません。

AirPods Proも進化。ノイキャンが静寂をつくる

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さて、Apple Watchの解説を終えて、Air Pods Proの第2世代です。注目はバッテリー持続時間。連続再生で12時間、ケース自体も24時間から30時間に延びているのがポイントです。そして、H2チップが入りました。実は、AirPods Proを試したハンズオンの会場は大変うるさかったんですね。でも、そのノイズも、装着すると一瞬で静寂が訪れる。これが結構驚きでした。

また、人の声は通すけれど、工事の音をカットするなど、機能もより強力になっています。残念ながらハイレゾは追加されませんでしたが、もしかしたら今後の隠し玉かもなと思っています。 AirPods Maxのアップデート時に実はProもアップデート、みたいなことがあるかもしれません。

それとボリューム調整が耳元だけで可能になりました。個人的にも欲しかった機能ですが、触ってみて、実際、良かったですね。これまでは、Apple Watchのデジタルクラウンを回すかiPhoneのボリュームボタンを触る必要があったので、結構便利になったんじゃないでしょうか。

(後編に続く)

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松村太郎

松村太郎

ITジャーナリスト

1980年生まれ。ジャーナリスト・著者として、ITとライフスタイルの取材、記事や書籍の執筆活動を展開。2011年からの8年間、シリコンバレーを現地取材。知見を元にスタートアップから上場企業の支援も行う。2014年、長野県にプログラミング必修の通信高校「コードアカデミー高等学校」設立に尽力。2020年より新設の「iU」(情報経営イノベーション専門職大学)専任教員。

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