Shigezoneの茂田カツノリです。今日はCESそのものの解説および会場で拾った興味深い製品について、拾い読み的にご紹介してゆきます。
LVCCとVenetian Expo
CESは大きく「LVCC(Las Vegas Convention Center)」と「Venetian Expo」の、完全に離れた2つの会場で行われるのですが、両者は場所や展示内容だけでなく見る側も意識を変えなきゃならないくらい、何から何まで異なります。
ちなみにVenetian Expoはその名のとおり建物内に運河が流れゴンドラに乗れるVenetian Hotelに隣接しています。この建物は1990年の開業から2021年まで「Sands Expo」という名前でしたが、買収により現名称に変更になっています。ややこしいので、僕らはいまだにSandsと呼んでたりもしますが、シャトルバスの案内でも口頭ではSandsと呼んでたりで、そこは正式名称にしようよ、と思ったりはしてます。
「Las Vegas Sands」自体は1952年から1996年まで存在したホテルで、いまも通りの名として残っています。買収したとしても会場名だけ残してくれたらいいのにとも思いますが、Sandsは企業名なのでそうもいかなかったのでしょう。なので皆さんも発声練習しときましょう。はい、ご一緒に「べねちあんえきすぽ!」。
2つの会場は何から何まで異なる
2つある会場の棲み分けは、Sonyなど大手企業はLVCC・スタートアップはVenetian Expoというものです。特にVenetian Expoの下のフロアは「Eureka Park」と呼ばれる、一定基準を満たした新しい企業しか出展できないという縛りがあり、これが面白いのです。
そして2つの会場は見る側も異なる意識が必要です。
LVCCには目新しい製品が並んでいて、大型スクリーンでのデモが繰り返されるという、ごく普通の展示会です。ただ受け身に展示をみてるだけで十分に楽しめます。
一方でVenetian Expoの特にスタートアップ関係ブースは、場合によっては製品展示すら存在せず、スクリーンを使ったデモもまずありません。ここを見るためには、何の製品を展示していて、出展企業はそのどの部分を作ったのかを質問する必要があるのです。つまり受動的に歩き回るだけじゃまったく意味がないんですね。
僕もCES初来場の人に「初日のEureka Parkだけは案内しますから」と伝えて「いや展示会でしょ、大丈夫大丈夫、自分で歩いて製品みればいいので案内なんていりません」と言われちゃうことがあるんですけど、それってホント、せっかく来たのにもったいないことになるんですよ。英語で質問するか、英語で質問できる人について回って写真係でもやるのが、Eureka Parkの回り方なのです。
ちゃんと質問すると目の色が変わる
スタートアップのブースには製品を作った人がいる可能性が高く、これが面白いわけです。筆者も「自分がこの製品を作るとしたらどこをポイントにするかな」と想像を巡らせて、ノウハウみたいなものには触れないよう配慮しつつ、要は思い切り自慢話をしてもらうのですね。
ちなみにスタートアップだけじゃなく、大手企業でもこの手法は有効で、的確な質問ができると話が弾みます。そんな感じでノリノリな説明を受けた商品を、いくつかご紹介しましょう。
ビデオチャットで顔の実態を表現する『Wehead』
『Wehead』は、ビデオチャットにおける「平面画像だけではどうにも臨場感に欠けてしまう」的なことを解決しようとしている製品です。こういうのはお金をかければいくらでも手法はあるでしょうが、本製品はご覧の通り、汎用の平面液晶を組み合わせて顔を再現してます。
『キモイ』って思われるかもですが実際には「これアリかも」と思わせるだけのユニークさがあります。オンラインデモをみるとわかるのですが、撮影そのものは平面画像のフェイストラッキングで行っていて、顔の位置と向きを検知してデバイスを動かしているという動きになります。つまり利用時には何ら特別な操作はいらないというのが、もうひとつの特徴です。
この製品について著者が聞き出したのは以下の話です。
茂田「なぜ液晶4枚に?」
Wehead「まず目は当然、言葉とは異なるメッセージを伝えていることがありますから、しっかり見せます。口は、実は会話では音は出ておらず口の形で判断していることもあります。左右の頬は表情を示すのに重要な部分です」
茂田「ビデオチャットにおける、いわゆる『アイコンタクト問題』はどのようにお考えですか?」
Wehead「その問題は認識していて、実は解決してないといえばしていません。ただ撮影をスマートフォンで行うこと前提なので、PC+Webカメラほどはアイコンタクト問題は起きません。さらにWeheadデバイス側で目の部分の液晶に角度をつけることで、より違和感を減らしています。
自動運転タクシーの実証実験を続ける『Waymo』
Google社の自動運転プロジェクトとして発足した『Waymo』は、LVCC屋外に歴代車両を展示していました。ハンドルなどの操作系が一切ない自動運転車として報道された「Firefly」もちゃんとありました。
なおこれはもう現役ではなく、シリコンバレーのコンピュータ歴史博物館に展示されている、文字通り「博物館送り」になっているものです。
タクシー運用や一般への貸出は、ハンドルやブレーキが付いて人間の操作も可能な普通のクルマで行ってきましたが、今年にいよいよ中国・Zeekrのモデルで操作系のない自動運転車の実証実験が開始されるとのことです。
プロトタイプである「Firefly」も操作系はありませんが、席中央には非常停止ボタンがしっかりありました。一方でZeekrのほうは筆者がみた限りでは物理の非常停止ボタンは見当たらず、質問をしましたが明確な回答は得られませんでした。
ということでWaymo・Zeekrモデルのニュースが流れるのを楽しみにしておきたいですね。
茂田から読者のみなさんへお土産です!
Waymo社のご協力により、このかわいいピンバッジをガジェタッチ読者の皆様へのお土産として頂いてきました。約100個あります。筆者が腰痛の恐怖と戦いながら持ち帰ったこちらは、秋葉原・東京ラジオデパートにある筆者のお店「Shigezone」にご来店頂ければ、お一人様1個差し上げます。針のあるピンバッジですので、小さなお子様にはお渡しにならないようご注意ください。
条件はTwitter @ShigezoneAkibaをフォロー頂くだけで、あくまでお土産ですので商品購入等は不要です。あるいはShigezoneの通販をご利用頂く場合は、備考欄にご希望種をご記入くださればお送りします。