Appleは10月17日の夜に突然新しいApple Pencil(USB-C)を発表した。
最初にApple Pencilが登場したのは、12.9インチiPad Proが発表された2015年11月だ。そしてApple Pencil(第2世代)も2018年10月にiPad Proとともに発表されている。
いわばこれまでのApple Pencil(第1世代)とApple Pencil(第2世代)は、プロ向けに発表されているわけだ。もちろん対応機種幅広く、iPad AirやiPad miniなどでも使えるようになっていくわけだが、Appleとしては、イラストレーターなどのクリエイターを満足させる製品という位置付けだったのかもしれない。
これに対して、今回発表されたApple Pencil(USB-C)は、Appleが初めてプロ向けではなく、スタンダードモデルとしての位置付けなのかもしれない。
すでに話題になっているように、Apple Pencil(第1世代)とApple Pencil(第2世代)に搭載されている圧力を感知するセンサーが搭載されていない。これはイラストや絵を描いたりする人にとってみれば残念な仕様となっている。そういった方にはこのモデルはオススメできない。
ただ、Apple Pencilを使う用途は必ずしもクリエイティブだけではない。僕もそうだが、普段の生活では絵などは描いたりしないが、メモを取ったり、仕事でも資料に注釈を手書きでつけたりできるのはApple Pencilを使う大きなメリットだ。
これまでそういった用途でも純正ということになれば、Apple Pencil(第1世代)とApple Pencil(第2世代)という選択肢しかなかったわけだが、今回のApple Pencil(USB-C)はそういった人にはいい製品だと感じる。
もちろんすでにApple Pencil(第1世代)やApple Pencil(第2世代)を持っている人が新たに買い足す必要はないだろう。そういった意味ではこれからiPadを買いたい人には新しい選択肢ができたと考えるがいいのではないか。
特にiPad(第10世代)との相性は抜群だ。これまではApple Pencil(第1世代)しか対応していなかったため、使う際にはUSB-C-Apple Pencilアダプタが必要だった。これはやはりあまりスマートではなかったのは事実だろうが、Apple Pencil(USB-C)では、USB-Cケーブルで充電そしてペアリングが可能になったため、その辺りはクリアになったと言えるのではないか。
Apple Pencil(USB-C)のUSB-Cポートは、キャップをスライドさせると出現する仕組みをとっている。普段はポートが見えずスマートに使えるのはデザインとしては優れていると思う。
また、充電やペアリングができないがiPad(第10世代)の側面にマグネットで取り付けることができる。これは持ち運びを考えた時にはかなり便利になる。Apple Pencil(第1世代)の時はどうしても別々に持つ必要があったからだ。
機能の比較表を見てみると、先ほども挙げた通りApple Pencil(USB-C)は、圧力を感知するセンサー、マグネットによるペアリングと充電機能は搭載されていない。さらに、ダブルタップでツールを切り替える機能も使えない(ついでに刻印サービスも使えない)。
ただ、傾きの感知することはでき、文字を書くときに重要なピクセルレベルでの精度やレイテンシーの低さはApple Pencil(第1世代)とApple Pencil(第2世代)と同等の性能を備えている。
サードパーティ製のペンシルでも同じような機能を持ったものがあるので、それを選択するのも一つの手だと思う。その中で純正にもこういった選択肢があるのはこれから買う人にはいいと思う。
惜しむらくはやはり円安ということになるだろう。日本では12,880円だがアメリカでは79ドルで販売される。このアメリカの価格を見るとこのモデルの印象も少し変わると思うし、もう少し円高であればと思わずにはいられない。
ちなみに教育機関向けは11,280円で販売される。今後学校単位でApple Pencil(USB-C)がiPad(第10世代)と一緒に導入されるという形はありそうだ。