Appleは、Apple Store店頭で毎日無料セッションToday at Appleを行っているが、5月から新たな試みとして「あなたのビジネスのために」と題したセッションがスタートした。
今回、日本では初となる「あなたのビジネスのために」がApple福岡で開催されたので、取材に行ってきた。
「スポットライト:佐藤慎介に学ぶ、スタートアップ成長の鍵とApple製品」と題された今回のセッション。福岡を拠点に、海外展開もするNO COFFEEの佐藤慎介さんを迎え、起業のきっかけ、SNS戦略などを聞くことができた。
佐藤慎介さんは元々東京でサラリーマンをしていて、コーヒーに携わる仕事もしていなかったが、学生時代にはスターバックスでバイトを4年ほどしていて、その時にコーヒーが好きになり、いつかコーヒーを仕事にしたいと思っていたそう。
独立を決めてNO COFFEEを設立することになり、福岡に拠点をすることになった理由として、パートナーの出身地が福岡で、結婚してからよく訪れていてすごく好きな街だったことを挙げていた。
また、福岡でも天神などといった大きいエリアではなく、平尾という少し離れたエリアにお店を構えた理由について、中心地にあるお店というより、目的を持ってきてもらえる店にしたいという理由から、当時空き店舗になっていた平尾の店舗に決めたそうだ。
そもそも「NO COFFEE」とは、「NO COFFEE,NO LIFE」から来ている言葉だが、コーヒーだけじゃなく、グッズだったり、イベントだったり色々なことをやりたいという気持ちが込められている。
オープンは2015年12月27日。初日なのでさすがにお客さんはそこまで来ないだろうと予想してたが、気がつくとオープン前の店舗の外には行列ができ始め、そこから閉店時間までノンストップでコーヒーを提供し続けるほどの大盛況となった。
この裏には、オープン前に事前の準備をしっかりしていたと佐藤さんは明かす。当日付き合いのあった東京のファッション系の媒体などで取り上げてもらったり、SNSはかなりうまく使ったと話している。
今でも毎日Instagramには朝に挨拶と営業時間と案内とともに、コーヒーの写真をアップしているという。それを見てくれた人が一人でも来店してくれたらいいなという思いでやっているそうだ。さらに、海外の方もそれを見て来店してくれるそうで、海外向けに発信というのは特別していないが、Instagramは写真のコミュニティなので言語はそこまでいらないと話していた。
また、今までにかなり多くのブランドとのコラボを実現している。一番大きかったのが、自動車メーカーのホンダ、さらにはONE PIECEなどともコラボをしていて、会場にもそういったコラボグッズを持っている人が多くいた。
ここからは佐藤さんの仕事の道具ということで、どういったツールを使っているのかが紹介された。仕事はMacでやっているそうで、もちろんiPhoneも使っているが、メールなどの返信はiPhoneでやるのが苦手で、絶対にMacは欠かせないと話していたことが印象的だった。
NO COFFEE店舗ではiPadをレジに使い、お客さんへ金額を見せるディスプレイとしてiPhoneを使っているそうだが、先日リリースされた「iPhoneのタッチ決済」も試し始めているそうだ。
今のところ全ての決済に対応していないので、全面的に置き換えはすぐにはできないが、iPhoneがそのまま決済端末になることは画期的で、イベントの出展でWi-Fiがない環境でもiPhonを持っていけばできるのはすごく便利なので今後使ってみたいと話していた。
セッションの最後にはQ&Aの時間が設けられ、参加者から「SNSやECサイトを運営する上で心がけていることは?」という質問に対して、とにかくスピードを大事にしていると話をしていた。これは商品の発送などでも、なるべく早くできればその日に発送することを心がけていたと語っていた。
さらに、SNSの活用として、Instagramでも投稿は見ないけどストーリーは見る人が多いので、そこも必ず投稿しているそうだ。
佐藤さんは今後のNO COFFEE展開として、現在上海・ソウルにフランチャイズで店舗を出しているが、年内には台北でも出店を計画しているという。さらに国内では現在、福岡にしかないが、10周年を迎えるあたりに東京でも出展したいという思いを明かした。
今回のToday at Apple「あなたのビジネスのために」という枠組みでは初めてだったが、Apple福岡でもこの規模のセッションが行われたのは初めてだそうだ。
実際にスモールビジネスの立ち上げからこういった大きなブランドになっている佐藤さんの話を間近で、生の声が聞けるというのはかなり貴重なことなので、今後もこういったセッションが継続的に行われてほしいと感じた。
また、あまり知られてないがAppleでは、会社の課題解決からApple製品の効果的な導入までサポートしてくれるビジネスチームがあり、法人であれば気軽に無料で相談することができる。
対面はもちろんのこと、メール、電話、オンラインでのブリーフィングも可能で、自社専用のオンラインストアの開設などもできたりするので、興味のある方はストアのスタッフなどに声かけてもらいたい。