日本で「WWDC22」を見守り続けているリンクマンによる、基調講演で発表された内容のまとめ、気になった機能のピックアップ記事の後編です。
前編はコチラから
M2とMacBook Airの新型、新色が気になる
今回の「WWDC22」で発表になるか注目されていたのが、新型MacBook Airとそれに搭載されるM2チップ。結果発表されたわけですが、M2チップはM1チップの正常進化という感じでしたね。
Intel CPUからM1に変わった時は「2〜3倍速い」という言葉が躍りましたが、今後Mシリーズが進化する際には、前モデルより20%ほど高速になる、というのが定例化しそうです。
M2は、第2世代の5nmプロセスで作られていると発表されていますが、いわゆる「N5P(5ナノメートルプラス)」で製造されていると思われます。
M1より少しチップが大きくなり、最大24GBのユニファイドメモリ、GPUのコア数の増加とNeural Engineもより強化。メディアエンジンも搭載することで、M1を確実に進化させたチップになっています。
そんな「M2」チップを搭載した新型「MacBook Air」。
デザインが一新され、フラットながら薄い(1.13cm)デザインに変わりました。エッジに向かって細くなっていく前のデザインもカッコよかったですが、新デザインも、すでにMacBook Proでお馴染みのデザインなので、すぐに見慣れそうですね。
Thunderbolt 3ポートが2つというのは変更ありませんが、Magsafe 3への対応で電源供給とは別にポートが2つしっかり使えるのは良いポイント。
3.5mmのヘッドフォンジャックは、ハイインピーダンスヘッドフォンに対応しています。これはオーディオ好きな人には嬉しいんじゃないでしょうか。
1080pに対応したFaceTime HDカメラと搭載は、当然(遅かったくらい)とも言えますが、スピーカーは4つ搭載、空間オーディオにも対応ということで、コンテンツ視聴にも向いたマシンになっています。
カラーラインナップが充実したのも大きなポイントです。最近のAppleは、プロ向けモデルにシルバーとスペースグレイという無難(?)なカラーを選び、エントリーモデルにはカラーバリエーションを増やすという戦略をとっていますが、今回の「MacBook Air」はシルバー、スペースグレイに加えてスターライトとミッドナイトの4色展開にしてきました。
色の名前というより「概念」という感じのあるネーミングですが、ミッドナイトは特にブラックに近い青という印象で、これは人気が出そうですね。
色味が気になる方は、現地で撮影した実機レビュー動画をチェックしてみてください。
さて、今回のM2 MacBook Airですが、今すでに「M1 MacBook Air」を持っている人が買い替える必要があるかどうかは、判断が難しいところ。
動画編集する人はより快適になりそうですし、新デザイン・新カラーはやはり気になりますよね。
問題は円安により、価格が上がったこと。状況からすると仕方ないことですが、これは今後発表されるiPhone含め、日本で購入する時の大きなハードルとなりそうです。
ステージマネージャはmacOSの新しいスタンダードになるか?
「macOS Ventura」をざっとまとめた記事はコチラ
新しい「macOS」の名前は「Ventura」。いつもOSのネーミングは注目されますが、今回はカリフォルニアのハイウェイ1号線を真っ直ぐ進むと着く街の名前のようです。
今回の「macOS Ventura」は後述する「iPadOS 16」とも関係する「ステージマネージャ」が大きなポイントと言えそうです。
Appleの新しいデスクトップの活用法が「ステージマネージャ」。
作業中のアプリを真ん中に起き、バックグラウンドにあるアプリを左側に表示させるスタイルで、単独のアプリや複数のアプリをグループ化することで作業により集中できる…というわけです。
macOSには今までもMission ControlやSpaceといった複数のアプリを使う方法はありましたが、この「ステージマネージャ」は、新たな提案と言うことですね。
もうひとつ面白い機能に「連携カメラ」があります。これは手持ちのiPhoneがMacのWebカメラになる機能。
皆さんご存知の通り、iPhoneのカメラは非常に綺麗に撮影できます。そのiPhoneが、Webカメラの代わりになるメリットは、かなり大きいと言えるでしょう。
センターフレームやポートレートモード、スタジオ照明といった、iPhoneならではの機能はもちろんのこと、広角カメラと超広角カメラを使い、顔と手元を同時に映すことができる「デスクビュー」はかなりユニークな機能です。
YouTubeなどで、手元を見せつつ解説する動画を、みなさんも見たことがあると思いますが、そういった映像を、簡単に再現できるかもしれません。
新たな一歩を踏み出したiPadOS 16
「iPadOS 16」の機能をざっとまとめた記事はコチラから。
WWDC21の基調講演の最後に紹介されたのがこの「iPadOS 16」です。
最後に紹介されるというところで、Appleが、iPadOSに重要な意味を持たせていることがわかります。
まず気になるのは「共同作業アプリ」。これ英語ではFreeformという名前です。そのままでもよかったような…という気持ちもありますが、機能はかなり面白いものです。
複数人で一緒にアイデアを考えながら、Apple Pencilでスケッチしたりメモしたりが可能です。
FaceTimeで通話しながら、リアルタイムに更新されるホワイトボードに書き込んでいく…というのは、まさに、iPadの使い方にマッチしているんじゃないでしょうか。
そしてもうひとつ、今回の「iPadOS 16」の象徴的な機能となる「ステージマネージャ」です。
この機能が使えるのはM1チップ搭載のiPadに限られますが、「macOS Ventura」と同じ機能がiPadOSにもくること、アプリウインドウを重ねて使う作業が、初めてできるようになります。
iPadとMacの違いのひとつが、このウィンドウ表示方法なわけですが、今回の「ステージマネージャ」の登場により、iPadをMacに近い使い方をすることが可能になるわけです。
あくまでiPadOSはタッチディスプレイを想定されて作られたOSですが、Macのように使いたいという要望は大きかったことから、この解決方法が提供されたのではないでしょうか。
さらに外部ディスプレイをフルサポートするなど、M1チップを搭載した意味が、やっと出てきた気がしますね。
WWDCは次の1年の計画がわかるイベント
一気に振り返ってみましたが、「WWDC22」で発表された内容は各OSは秋以降に一般リリース予定。一部機能は、さらにバージョンアップを重ねた数ヶ月後、というように、順次提供されていくことになります。
次の1年、Appleがどの方針で進んでいくのかがわかるこの「WWDC」。
やはり製品発表をメインにしたイベントとはまた違った面白さがありますね(今回はMacBook Airが出ましたが…)。
実際に使ってみないと分からない機能もありますが、どのOSにも成熟が進む中、少なからず驚きもある内容だったと感じました。